怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と「新宿ナイト・イン・フィーバー!」

  • 特捜最前線第80話「新宿ナイト・イン・フィーバー!」(脚本・長坂秀佳 監督・佐藤肇)を見て、あまりの面白さにふらふらのふらふらふらふらとなる。

 


[ストーリー]
山櫻組組長、種田が新宿Pホテル前で、射殺された。
●第1弾 第一犠牲者 左胸貫通
●第2弾 同人 頭部盲貫
●第3弾 同人 胸部貫通
張り込み中の吉野たちによって、犯人はその場で逮捕される。だが、拳銃がない。取り調べの結果、逃走中、隣り合わせた男の鞄の中に入れたと供述。特命は全力で男の行方を追う。紛失した拳銃はS&Wモデル59。装弾数は16。残弾は13発。
偶然、拳銃を手に入れたのは、別荘地のセールスマン、小栗洋平。気の弱い彼は、皆から愚図と馬鹿にされ罵られる毎日。顧客たちは契約をちらつかせ、下男同様に彼を扱う。一丁の拳銃が男の運命を狂わせる。(以下、内容により詳しく触れています)

10月9日 午後3時28分、銃を手にした洋平は新宿花園神社境内にやって来る。銃を弄ぶうちに暴発。
●第4弾 誤射
弾丸は、通行人に当たり、即死させる。この事実を洋平は知らない。
10月9日 午後5時40分、新宿歌舞伎町でヤクザ二人に絡まれ、金を盗まれる。洋平はいったん、コインロッカーに入れておいた銃を取り出す。
10月9日 午後7時27分、新宿コマ劇場裏でヤクザ二人を射殺。
●第5弾 第二犠牲者胸部貫通
●第6弾 第三犠牲者右前腕部貫通
●第7弾 同人顔面盲貫
10月9日 午後8時22分、百人町工事現場。契約を盾に自分を馬鹿にしつづけた電器店店主を射殺。
●第8弾 第四犠牲者腹部盲貫
●第9弾 同人胸部貫通
10月9日、午後9時32分、電器店店主同様、自分を馬鹿にしていたホステスを連れ出し、彼女のマンションへ。
10月10日、午前9時、ホステス射殺。
●第10弾 第五犠牲者頭部貫通
10月10日深夜、上司をディスコ内で射殺。
●第11弾、第六犠牲者左前額部貫通
●第12弾、同人腹部貫通
●第13弾、同人胸部貫通
10月11日、自分をふった事務員の女性を呼び出す。待ち合わせ場所で吉野刑事を銃撃。
●第14弾、路上着弾
●第15弾、吉野刑事狙撃、地面に着弾

そして、最後の一発は……?

  •  長坂秀佳作品ベスト2が「死刑執行0秒前」と書いたところ、では、ベスト1は何かとの質問をいただいた。本作「新宿ナイト・イン・フィーバー!」がぶっちぎりのナンバー1なのです。
  • 長坂秀佳という人を明確に意識し始めたのが本作。あまりの凄さに「テレビジョンドラマ」という雑誌で脚本家をチェックしたのを覚えている。
  • それまでも、「特捜最前線には何話かに一度、特に面白い話がある」という漠然とした思いはあった。その答えが、長坂秀佳であったわけだ。
  • ディティールに凝るのは長坂脚本の常道だが、今回はその魅力爆発。ラストカットまで、計算通り、綺麗に見せる。もはや私ごときの感想の入り込む余地はない。ただただ平伏。
  • ところで、第4弾の誤射で通行人を殺しているのだが、これは犠牲者に入っていない。洋平に殺意がなかったから、「殺人」にはなっていないからだろうか。
  • 第四犠牲者の店主。彼を殺しに行くとき、「ヤツに喋られたら」と洋平が言うのだが、これはどういう意味なのだろう。鞄の中の拳銃は親父には見られていないはずなのだが、これは私の見落としかもしれないが。
  • とにかく、CSで放送された193話までの中で、本作はぶっちぎりのベスト1。アメリカのテレビドラマ「ホミサイド」の「狙撃」と並び、テレビドラマのベスト1でもある。