怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

妄想魚人間たちと防寒着着用イベント

Muho2006-01-27

  • ひさしぶりに自宅にいるので、仕事をしようとするが、なかなかうまくいかず。
  • 食玩版ヒューザー・イワクラから荷物が届いた。はるか以前に注文して金を取られた「妄想魚人間」と「ジャイガー二世と日本万国博覧会小型潜水艇」である。「妄想魚人間」は「ゴジラ対ヘドラ」の劇中、半分頭のおかしくなった柴俊夫が見る妄想に登場する人たちのことだが、こうして立体物にされると、並べているこちらの頭も半分おかしくなってくるから不思議だ。
  • すかさず、イワクラからメールが届いた。1月29日に大阪でイベントがあるらしい。会場限定てんこもりで、世の吸血転売屋の尻に火をつけるらしい。そして、イベント告知のラストには次のような一文が!


※通天閣3Fホールは空調設備故障のため、ご来場の際は厚着でお越しください。

 

  • 毎度、愚痴愚痴言いながら、落語の仕事をしているが、やはりここは謙虚に続けることにした。そして、「志の輔らくごin Parco」に。
  • 1月3日から26日まで、毎日、三席ずつ演じるという怒濤の企画。その最終日だった。演目はすべて新作。いろいろと趣向があるらしい。
  • 「買い物ブギ」は薬局に買い物に来た客と店員、店長の会話で進む。言葉遊びというか、日常の謎の考え過ぎ版というか、素晴らしかった。トイレの芳香剤「森の妖精」。

「臭いを吸収し、トイレを森の香りで包みます」
「それはいいな。トイレにいて森の気分が味わえるのか。問題は、森に行ったとき、便所を思い出しちまうことだな」
「これはヨーロッパの森でございますので」
「そうか。ヨーロッパなら行く予定もないからいいや。でもさ、臭いを吸収しちまうんだろ。だったら、森の臭いも吸収しちゃわないか?」

  • と話はどんどんややこしくなっていく。風呂用洗剤、歯磨き粉、トイレットペーハーで、それぞれネタを思いついたのだから、恐ろしい。
  • 「歓喜の歌」は芸術点100点。誰にでもできる代物でないけれど、これは来世にも伝え、「古典」にすべきだろう。大晦日が舞台であったり、公民館のダメ係員が「気づき」によって生まれ変わったりと、「芝浜」っぽい部分も。
  • 大晦日、公民館のホールでママさんコーラスの発表会が行われる。ところが公民館側の手違いでダブルブッキングが発覚し。二つのママさんコーラスグループの間で、公民館の係員は右往左往する。さて……
  • オチの後、高座後の幕が開くと、そこに総勢60人のコーラスグループが並ぶ。「歓喜の歌」の大合唱があって、幕。これを年末に聴いたら、かなり得した気分になれるはず。
  • 「狂言長家」は、長家の住人が身投げ男を助けるところから始まる。男は殿様お抱えの狂言師。殿様の前で披露する新作狂言をライバルに盗作され、明後日までにそれを超える新作を書かねば、家は断絶。思いあまって自殺しようとしたという。殿様のお題は「無情」。長家の衆は狂言師を助けようと様々な「無情」を語り始めるが……
  • 「この展開では、本当に狂言を見せないとどうにもならないよなぁ」と思っていたら、中盤で本当に狂言が始まった。茂山一平をゲストに、志の輔自身も狂言を演じる。良質な手練手管に圧倒され、100%を超える満足。エンターテイメントを仕掛けるには、このくらいの手間と肝の座り方がなければダメだよなと、いろいろ教えられました。
  • 私が新作落語を聴くときのポイントは一つ。「これがなぜ落語という形で発表されたのか」。落語というのはテレビもラジオもない時代に、庶民の娯楽の一つとして生まれた。当時としては、あのスタイルが最良最上だったわけだ。でも今は違うわけで。コント、漫談、テレビ、映画、それらを使って表現した方がより面白くなるものを、あえて不自由な落語でやる必要はない。自分が落語家だから、自分の考えた話を落語でやって喜んでいる人には今ひとつ、のれない。
  • 志の輔師の新作は、落語の手法を逆手にとり、サプライズに依っているところもあるのだが、おおむね、「落語」である説得力があった。文珍師、三枝師、枝雀師以来、ひさしぶりに良質な新作落語が聴けたと思う。