怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

豪華本も欲しかった

tree-novel.com

  • 2020年7月1日から8月31日まで、様々な作家が交代で掌編を連載していく「Story for you」。掲載作品が一冊の本にまとまりました。
  • 私も7月9日に参加しました。あのころは最初の緊急事態宣言が出ていて、「家にいろ」と叫ばれていたころ。同時に外に出られない苦しさ、悲しさ、不満などが語られたころでもあります。
  • でも、家にいることで居心地の良さを感じる人だっている。私はその一人でした。打ち合わせがリモートになり、現地に出向く必要がなくなり、それに費やしていた時間が自分のものになった。大嫌いな電車にも乗らなくてよくなり、人の集まりに出かけなくてよくなり、飲み会にも行かなくてよくなった。家で好きなテレビを見て、模型を作る時間が増えた。
  • でね、その頃はそんな快適なインドア生活がじきに終わるだろうと考えていた。外に出て良しとなった瞬間、多くの人は大喜びで外に飛びだしていくだろう。前にも増して、外に出ること、人に会うことが良いものとされ、そこに疑義を挟む人はいなくなるんじゃないだろうか。
  • いやそうではない、ということを言いたくて、このちっぽけな話を書いた。インドア生活は決して悪いことではない。外に出て、人と会うことが必ずしも良いことではない。人はそれぞれ快適な過ごし方がある。インドアが憎まれ、それが解除されたときの反動を私は恐れたのです。それによって、かき消され、「ダメ」というレッテルを貼られるであろう、インドア好きの人々に「いやいや、ここにもそんな男がいるから」とか細いメッセージを発したつもりだった。
  • でも、一年以上たって、状況がそれより酷くなっているとはなぁ。
  • ちなみに、この一冊は編集部よりお送りいただいたもの。この企画には漫画編もあり、漫画だけを集めたもの、漫画と小説の豪華パッケージ版もあるらしい。そして、人によっては、それらが全部送られてきた人もいる。私の手元には小説が一冊来ただけ。まあ、こういう格差も耐え忍べということなんでしょうな。

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