怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と「爆破60分前の女!」

  • 特捜最前線

第17話「爆破60分前の女!」(脚本・長坂秀佳 監督・佐藤肇)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。(2026年Ver.)

 

群馬県松川村で民家が爆破され、4人が死傷した。特命課員たちが捜査に当たることに。

そんな中で、桜井だけが財界首脳会議の警備を担当していた。

会議当日、特命課のオフィスには神代と桜井しかいない。そこに、神代宛の小包が。中味は車のラジコン模型。だが、車体には時限発火装置とダイナマイトが仕掛けられていた。驚愕する二人に、犯人を名乗る男が電話をかけてくる。男は無線装置によりいつでも発火装置を動かすことができると語る。特命課のオフィスは総合ビルに入っている。爆発すれば、5000人の命が危ない。外部への連絡を図る二人だが、オフィスは監視されていて身動きが取れない。
犯人一味はまず桜井を呼び出す。その目的は財界首脳会議にあるのだ。桜井にとって、爆弾とともにいる神代が人質である。指定場所に呼び出された桜井は、一味と首脳会議会場へと向う。
一方、神代にとってはビルにいるすべての人々が人質である。首脳会議の開始は1時間後の10時。犯人たちは首脳会議会場で何らかの行動を画策している。もしそれが失敗に終われば、犯人たちは爆弾を爆発させる心づもりである。盗聴され、監視され身動きすらできない神代。
そこに、群馬県の爆破事件捜査に出動していた船村たちが戻ってくる。彼らに爆弾のことを漏らせば、即座に発火装置のスイッチが入れられる。神代はわざと素っ気ない態度を取り、彼らを追い返す。その態度に不審を持つ船村。犯人、神代、桜井、そして船村たち。四つ巴のかけひきが始まる。タイムリミットはあと1時間……。

 

特捜2本目の長坂脚本。高橋プロデューサーをして「テンサイ的にオモシロイ」と言わしめただけのことはある。こんなの見せられたら、1日、何もする気がおきなくなる。

「ユウカイの長坂」、「バクダンの長坂」と呼ばれる、まさにきっかけとなった一本。ただ、個人的に言わせてもらえれば、長坂脚本最大の魅力は「かけひき」だと思う。先手先手を読む、プロ同士の化かし合いだ。

 

船村がわざとライター忘れていくところなんて、鳥肌もの。いち早く神代の様子がおかしい事を悟り、ライターを残していく。それを取りに来たとき、自宅に電話をかけるふりをする。だが電話は行きつけのスナックにかかっており、電話口には高杉がいる。船村は監視している犯人に見えないよう、電話器本体と受話器の間にライターを挟み、電話を切ったようにみせかける。これによって電話は盗聴器の代わりとなり、神代の様子が電話を通してスナックの高杉に筒抜けーーと思ったら、神代はそのライターを外し電話を切る。直後に別の回線より犯人からの電話がかかる。話し中なのはなぜであったのかーー

 

かなり早い段階で、神代は玉井婦警に「今日はお茶はいらない」と述べる。それは、早々に戻らせる事で給いを巻き添えとしないための心遣い。中盤で神代は一瞬の隙をついて、メモに「ビルからの退避」を求める走り書きをして床に落とす。そして犯人にお茶を飲みたいので玉井を呼びたいと伝える。玉井が床のメモを見る事を期待してだ。しかし犯人の答えはノー。神代は一度「お茶はいらない」と言ってしまっている。それがなぜ今になって飲みたいと言うのか。驚くべきことに、床のメモは最後まで不発のままなのだ。

 

こうした駆け引き、推理が、神代パート、拉致された桜井パート、会場に先着した吉野、津上パート、犯人のアジトを探す船村、高杉パートでそれぞれ展開していく。

特命課レギュラー、全員が大活躍。「全員に見せ場を」という長坂氏の意気込みが見事、結実している。

 

これだけのものを盛り込みながら、実は「桜井と女」というパターンにしっかりと落としこまれている辺りも隙がない。劇中では名前すら呼ばれない女テロリストを桂木梨江が好演。

ビビューンとズシーンの立場を変えた共演とか、いろいろな情報も楽しいデアゴスティーニのムックも必読である。

 

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長坂秀佳と「爆破60分前の女!」2004Ver.

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