怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と核爆発 80秒前のロザリオ

  • 特捜最前線

30話 核爆発 80秒前のロザリオ(脚本・長坂秀佳 監督・佐藤肇)を見て、あまりの面白さにフラフラにな……ったのか!? (2026年Ver.)

 

日本政府に核爆弾の永久不保持を約束させるため、重森に核爆弾を造らせた刈屋教授。だが、重森は刈屋を無視して暴走を始める。彼と約束した場所に完成した爆弾は設置されていなかったのだ。重森の行方を追う神代たち。やがて重森から、黒の義勇軍リーダーであり、現在、服役中の本田博太郎を釈放するよう要求がある。重森もまた黒の義勇軍のメンバーであった。重森は神代に対し、本田博太郎劇場を30分以内にテレビ放送するよう要求。要求を飲むよう政府に働きかける神代であったが、官房長官である鬼首村のお庄屋さんは今ひとつノリが悪い。「おにこうべむらが正しい」という独特のイントネーションで神代を苛立たせる。やがて作戦がゴー。心臓病を患いヘロヘロの本田博太郎は無理矢理、車に乗せられるが、放送直前に死亡。本田博太郎! もうそれぞれが何だかわけの判らなくなった西田健は爆弾を隠したり、恋人を迎えにいって逃げようとしたり、時間がなくなって今度は爆弾を止めようとしたり、新宿の街を激走する。

特捜における長坂秀佳の作品は神がかっていて、「誘拐の長坂」「爆弾の長坂」の異名は誰しもが認めるところ。私個人としては、「タイムリミットの長坂」として理解しているが、もう一つ「前編の長坂」が持論であったりする。これは信者の方たちには怒られるかもしれないが、前後編の場合、前編が圧倒的すぎて、後編が何だか訳が判らなくなる傾向がちょっとある。

原爆を造る! というハラハラドキドキの前編が終わると、今度は重森が実は「黒の義勇軍」という反社組織の一員であると判る。でも、その「黒の義勇軍」ってのがいったいどんな組織なのか、イマイチ、見えてこない。そもそもリーダーは刑務所の中だし。組織の中で重森はどんな立場にあるのか。リーダーに次ぐナンバー2とかにあるのなら、前編からそのラインでグイグイいかねばならないはずなのにそれもなく、後編に至るも、ほかの義勇軍メンバーがまったく顔を見せない。

で、リーダーを釈放させるというのは要求として妥当でも、それが組織にとってどんな意味を持つのかまるで言及されていない。出国してどうなるのか。次なる組織の目的は何なのか。重森が得るのは何なのか。

で、リーダー出国が失敗すると、今度はあっさり原爆発動。なのに一度は見限ったはずの交際相手への情を捨てきれず東京をウロウロしている。わけが判らない。あなた、黒の義勇軍なんでしょう?

実は「黒の義勇軍」というのは嘘で、ほかに目的があったとする方が説得力があるのだけれど、ほかの目的も見当たらない。

重森は交際相手と言い争い、そこに父ちゃんがやって来て、その後には神代がやってくる。考え抜かれたコントでも、ここまでおかしくはできないだろう。腹を抱えて笑う。中でも刈屋教授のバカっぷりと、神代が追っかけてくるタイミングが死ぬほどおかしい。

結局、爆発までに東京から逃げられず、死ぬのが嫌だから原爆の在処を白状する。

これ、たまたま特命課がその場にいただけで、結局、彼らは最後まで重森の後手を踏んでいただけ。爆弾止められたのは、重森がチキンだったのと、たまたまその場にいたの二点に過ぎない。

ボロクソ書いて恐縮だが、本当にそうなんだから仕方がない。

デアゴスティーニムックには、「ここからが西田健劇場」とあるが、それはそうだろう。今回の唯一の救いは西田健だ。西田健を見ているから、何とか癒やされるのだ。

長坂秀佳には、30分でも90分でも120分でもなく、50分という長さが一番、似合うと思うのだ。

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