- アマゾンプライムに、東映70年代特撮を代表する珠玉の作品群が大挙して押し寄せた。「ジャイアントロボ」「キャプテンウルトラ」にはじまり、「イナズマン」「ロボット刑事」「キカイダー」「キカイダー01」など。夢か幻かと、目を疑うほど。
- そしてさっそく、人造人間キカイダーの第30話「アカネイカ美人女子大生を狙う」を見る。この作品は、天才脚本家長坂秀佳のギャグセンスが静かに炸裂する、気の狂った傑作。全編のほぼ9割に突っ込み所がある。
- まず腰が抜けるのは、アカネイカには出現シークエンスがない。物陰に隠れていて、女子大生の前に立ちふさがるだけ。これ、アカネイカの面相からしても、ものすごいパンチ力で、常識の一歩斜め上ってのは、こういうことなんだなと、今は認識している。
- アカネイカとロボット工学の天才女子大生とのすっとぼけた会話にも意表を突かれる。女子大生四人が無残に殺され、アンドロイドの部品にされてしまうという凄惨な幕開けであったがゆえ、なおのこと。この流れは、ラストの「俺はいかもの食いなんだ!」という一言で頂点を迎える。
- いったん、脳みそがずれてしまうと、修正はきかなくなり、光明寺博士の行動と独白が、なぜか判らないけれど、秀逸なコントに見えてきて、笑いが止まらなくなるのが常。
- ただ、これだけ質の良い笑いを提供してくれるアカネイカだが、それと共に愛着あるキャラクターになっていくかというと、まったくそんなことはなく、ボケまくりながらも、最後まで醜悪なダーク破壊部隊の一員としてのイメージが崩れず、見ている側は、キカイダーのデンジエンドにきちんと爽快感が得られる……のがどうしてなのか、どういうテクニックなのか、いまだよく解明できない。
- 分類不能、分析不能、感動必至の「アカネイカ美人女子大生を狙う」でした。