怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

自分の事もよく判らない作家

  • 最近、小説の書き方、作家としての生き方、生活の仕方について聞かれる事が多い。たしかに、そういう需要はあるようだ。
  • せっかくなので、ちょっと考えてみたのだけれど、やっぱり自分には無理みたい。子どものころから小説を読んでたわけではないし(ミステリーを読み始めたのが大学生のとき)、小説作法の勉強をしたわけではないし、そもそもプロットをきっちり立てないし(A4の紙に落書きするくらい)、メモもとらないし(ノートごとなくして帰ってくる)、取材も大してしないし(人付き合いが苦手なので人脈がゼロ)、編集者さんとマメに打ち合わせもしないし(プロットがないのだから打ち合わせのしようもない)、書いているものを途中で見せたりもしない(そんな恥ずかしい事絶対無理)。多分、語ったとしても、何の参考にもならないに違いない。
  • 既に出版された作品について、どのように作っていったかを振り返る事はできる。振り返りながら、自分で「そうか、そういう事だったのか」とびっくりし納得したりする事もしばしば。けっこう楽しかったりする。
  • 「何だかよく判らない作家」になる事が目標だったけれど、結果として、「自分の事もよく判らない作家」になってしまった。

山本弘さん、逝く……

  • 山本弘さんの訃報……。

    山本弘さんと直接お会いしたのは、一度だけ。2015年の8月「山本弘のSF秘密基地LIVE 東京出張編#3」にゲストとして呼んでいただいた時だった。開場前、モニターで新作「サンダーバード」を見て盛り上がった。私の書いた怪獣小説「BLOOD ARM」を「詐欺だ」と誉めて下さった。もう一人のゲストは開田裕治先生で、自身がゲストである事も忘れ、あれこれ質問し、サインまでいただいた。そんな私を山本さんは苦笑しながら見ておられた。ご著書「トワイライト・テールズ」文庫化の際に解説を指名していただいたのは、うれしかった。怪獣狂いとしての勲章を頂いた気持ちだった。

    「MM9」シリーズは衝撃の怪獣小説だった。いまなお、怪獣小説で唯一成功した金字塔だと思う。

    私が今も怪獣小説を書いているのは、「MM9」があったからだ。何とか怪獣小説の灯を消したくない。「殲滅特区の静寂」は山本さんにも読んでいただきたかったけれど、送り先も判らず、状況も判らず、かえってご迷惑かと思いあきらめた。「特撮怪獣映画はSFなのか?」「ハリウッドのゴジラは怪獣映画なのか?」おききしたい事がいっぱいあった。

    ご冥福をお祈りいたします。

 

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