――それで言うなら、押井さんが先ごろ脚本を担当された『ルパン三世』も“歳を取らないキャラクター”で、ずっと続いてますね。
「私は30年ほど前、劇場版の『ルパン三世』をやりかけたんだけど、すぐにクビになっちゃった。制作サイドは何かを変えたくて私に声をかけたんだと思うけどね。ところが、それが今になって、こういう形で参加することになったわけだからおもしろい」
――『ルパン三世 PART6』で担当された2作のうち第4話「ダイナーの殺し屋たち」。ヘミングウェイをテーマにするのは意外でした。
「私、じつはけっこうヘミングウェイが好きで、それなりに読んでいる。そこで今回は彼の短編集『男だけの世界』で遊んでみた。そのなかに収録されている14本の短編のタイトルすべてを劇中に入れ込んでいる。たとえば『そういえば今日は金曜日だったわ』というセリフは、『今日は金曜日』から。そういう具合に、“ヘミングウェイごっこ”して遊んでみた。
でも、もう一話のほう(第10話『ダーウィンの鳥』)は、まるで異なる話で、かなりギリギリっぽい。よく許してくれたと思ったくらいだった……そうやって考えると、『ルパン』も“永遠の日常”を変えたいと思っているのかもしれない」