怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

しょせん観光地、されど観光地

  • 夜逃げをしたネットショップの件、とりあえず予約品についてはキャンセル扱いとなり、カード決済分については、何とかなるようだ。コルクT氏もホッとしていた。私ですら手を引いた、大怪獣シリーズのギャンゴやケロニアが届いたと言って喜んでいるのだから、精神的なケアは必要ないみたい。
  • 京都で自分自身への土産として買ってきた「おたべ」「黒おたべ」「しんこ餅」「かしわ餅」「松風」「にしん蕎麦」などをひたすら食べる。それにしても、京都の人混みは凄かった。観光客の坩堝であった。バスはぎゅーぎゅー、道もぎゅーぎゅー、観光地ではない伏見の住宅街にも観光客がやって来て、弁当を食っていた。
  • 年をとったせいか、将来京都に戻るのも一つの選択かなと考えている。でも、これを見せられると、二の足を踏んでしまう。

読書
「沖縄軽便鉄道は死せず」(辻真先)

恐るべし辻真先先生の傑作群。
「あじあ号、吼えろ!」に続いて読了したのは、「沖縄軽便鉄道は死せず」。
今回の舞台は沖縄。階上は連合国艦隊に埋め尽くされ、昼夜を問わぬ砲撃で、沖縄の街は崩壊状態。沖縄刑務所も破壊され、囚人たちはほぼ全滅。生き残った北城たちは、刑務所の事実上の解散により自由となる。時はアメリカ軍上陸直後。北城と数人の仲間たちは、沖縄軽便鉄道を使って嘉手納を目指す。父から預かった古酒の甕を守る者、北へと連れ去れた女を捜す者、殺人の濡れ衣をはらすためかっての上官を追う者。それぞれの目的とともに、C1号機関車が走り出す。襲い来る艦砲射撃、上陸したアメリカ軍戦車による攻撃、略奪をくり返す日本軍の生き残り。軽便鉄道に沿って北上する北城たちの壮絶な死闘。生き残るのは、誰か。

沖縄県営鉄道は総延長48.03211キロ。物語は与那原線と糸満線の合流地点にある国場駅に始まり嘉手納線を北上、終着嘉手納駅までの逃避行を描く。逃避行といっても、嘉手納には上陸した米軍の本隊がおり、それを振り切ったとしても結局は小さな島であるから、早晩、追いつめられるのは必至の状況。それだけに絶望感は「あじあ号」の比ではなく、軍国教育に染まった少年少女や米兵との白兵戦など、とにかく戦争を肌で感じられる内容となっている。面白いけれど暗いし、重いけれどどこか爽やかであるのは、著者の力量故だろう。
出版は2005年9月。これを今まで読まなかったなんて、私は何をしていたのだろう。これもまた、世に広めたい一冊。

 

 

沖縄軽便鉄道は死せず

沖縄軽便鉄道は死せず