- ついに発売となった、100分の1「ウォーカーギャリア」が届いた。25年ぶりの快挙、25年間の怨念、まさか、平成の世に、こんなことが起ころうとは。
- プラモには「ウォーカーギャリアメモリアルハンドブック」がついていて、そこにあの「ギャリア発売中止事件」について少し触れられていた。
- 今では当たり前となった、シーズン中盤の主役機交代。それが華々しくスタートしたのは、「ウォーカーギャリア」からと言って良いだろう。ただ、主役交代が「番組中盤以降のザブングルは、マーチャンタイジング的にすでに破綻しかかっていた」「シリーズの点数を増やしていく途中……つまりシリーズ数点目あたりから、商品1点あたりの実売数がスタート当初よりも急激に落ち込んでいってしまった」「そこでテコ入れ案として、主役メカを交代させるという案がバンダイ側だけでなくサンライズのほうからも出てきた……」という流れの結果だったとは知らなかった。
- 「ギャリア発売中止事件」というのは、1983年、正式に発売告知もされ、見本市でモックアップまで展示されていた主役機「ウォーカーギャリア」が突然、発売中止になったことを指す。ガンプラブームの渦中、バンダイが鳴り物入りでスタートさせたウォーカーマシンシリーズだが、その主役機が発売されず、シリーズも途中打ち切りという現実は、「ガンプラ」に慣れた我々にとって衝撃だった。今になって思えば、「ザブングル」の放映も終わり、新番組「ダンバイン」も始まっていたし、「ガンプラ」はMSVが人気を得ていた時期。商売としてのハードルをギャリアが越えられないとする判断も納得できる。それに正直言って、私自身、そのころザブングルのプラモなんて作っていなかった。記憶を手繰ると、「ダグラム」から「スコープドッグ」への流れに乗っていた気がする。だから、世間で騒ぎたてるほど、発売中止事件がショックではなかった。ただ、「え! そういうこともあるんだ」という強烈な印象を残したのは事実。「売れないと見込まれれば発売されない」という現実を知り、それがそのまま、ガイドブックで言うところの「トラウマ」となった。
- ギャリアというのは、本当に不思議なプラモデルだ。もしあのとき、100分の1ギャリアが発売されていたとしたら。80年代リアルロボットをリメイクするという「R3」という企画が成立したかすら怪しい。ウォーカーマシンの再販にこれだけ皆が飛びついたかどうかも怪しい。たとえ再販されたとしても、ダッガーやプロメテウスほどにギャリアは売れなかっただろう。事実、144分の1のギャリアは山のように売れ残っていたではないか。ギャリアのキャラクターやデザインに、魅力はそれほどない。そんなギャリアを、ここまで伝説化したのは、25年前の「発売中止事件」だった。そのトラウマがギャリアの模型を神格化してきたのだ。
- ギャリアのプラモが発売されたからといって、「ザブングル」という作品の評価が極端に上がったわけではない。「ザブングル」を知っているのはごく限られた世代だろうし、ギャリアのトラウマを知っている世代はさらに限定される。模型店に並ぶ、格好悪いギャリアの模型を、皆、不思議に思うことだろう。でも、「ウォーカーギャリア」というプラモデルには、こんな切ない物語があるのです。模型屋で、ギャリアの箱絵を見つめる興奮気味の親父がいても、温かく見守っていただきたい。
- みんな走れ!
- そして、かつて隆盛を誇った母校の山岳系団体も部員数減少で廃部危機。時代は変わるなぁ……
- 06R。