- 二日ほど京都に戻り、祖母の四十九日の法要に。その後、マンションの整理。押し入れを空けたら、二十年前に他界した親父の私物がごっそりととってあった。さすがにポイポイ捨てるわけにもいかず、中身をチェック。驚いたのは、札入れから出てきた一枚のメモ。海外出張などの飛行機内で読んでいたのだろう、本の購入リストだった。松本清張、森村誠一、笹沢左保などのタイトルが書かれ、読了本にはバツ印がされている。二重買いを防ぐための意味もあったのだろう。それにしても、生前、親父が本を読んでいる姿を見たことはないし、私に本を読めなどとも言わなかった。社会派、新本格……と世の中は移ってきたけれど、まさか息子がミステリー書きになろうとは、さすがの親父も考えていなかっただろうな。なかなか愉快な巡り合わせなので、メモをデジタル化。
松本清張
黒い樹海、黒の様式、霧の旗、溺れ谷、時間の習俗、聞かなかった場所、眼の壁、無宿人別帳、不安な演奏、死の発送、喪失の儀礼、渦、渡された場面、告訴せず、砂漠の塩、弱気の虫、火の縄、ゼロの焦点、水の炎、影の地帯森村誠一
異常の太陽、恐怖の骨格、完全犯罪の座標、魔少年、高層の死角、黒の事件簿、裂けた風雪、夢の虐殺、花の骸、指名手配、青の魔性、企業特訓殺人事件、砂の碑銘、密閉山脈、銀の虚城、致死海流、凶水素、悪夢の設計者、夕映えの殺意笹沢左保
死と挑戦状、日曜日に朝はない、密会、真夜中の詩人、海の晩鐘、闇の結婚、崩壊の家
- その他、池波正太郎や山本周五郎、山田風太郎、佐野洋などもリストに入っている。横溝正史は「女が見ていた」「悪魔の寵児」「夜の黒豹」「迷路の花嫁」「仮面舞踏会」「悪魔が来たりて笛を吹く」の六作。な、なぜ、「悪魔の寵児」? 「夜の黒豹」?? ちなみに山田風太郎は「伊賀忍法帳」「修羅維新牢」。
- そんなこんなで、ミステリー中心に50冊ほどが書かれていた。メモが書かれたのは昭和60年前後だろうが、何を基準に選んだのかはさっぱり判らない。