怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

「刑事コロンボ 死者のメッセージ」

「刑事コロンボ 死者のメッセージ」
女流ミステリー作家、アビゲール・ミッチェルが姪の結婚相手であるエドモンド殺害を計画する。姪はヨットから転落して死亡。事故として処理されたが、ミッチェルはそれがエドモンドの仕業であると確信していた。財産分与を口実にエドモンドを呼び寄せたミッチェルは、自宅り金庫に彼を監禁。そのままニューヨークへと向う。翌朝、金庫内よりエドモンドの死体が発見される。状況は「不幸な事故」。だが、捜査に当たるコロンボはいくつかの不審点を見つけだす。

  • 犯人側への感情移入という点では、「別れのワイン」に匹敵する。何といっても、犯人は70才の老女。しかも殺害動機は娘同然に育てた姪への復讐である。「別れのワイン」と「忘れられたスター」のいいとこ取りである。それを名作と見るか、あざといと見るかは、人それぞれであろう。私は大好き。
  • 力のない老女が若い男性を殺害する。その悲しいまでの執念が、コロンボ史上もっとも残酷な殺し方というマイナス面を凌駕している。
  • 今回、コロンボの推理は比較的弱め。犯人との距離感が他に比べて近いのである。コロンボも常に穏やかな笑みを浮かべ、口調も和らかい。カメラワークもアップを多用、ミッチェル女史との対称を綺麗に引き出していた。
  • 後年の「新・刑事コロンボ」における「コロンボ像」は、本作延長線上にあるように思う。年をとったコロンボは角がなく、やたらと丸い。私のようなすれっからしには、そこが何とも物足りなく感じるのだ。