怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

「鈴々舎馬桜年忘れ独演会」

  • 池袋演芸場で行われた、恒例「鈴々舎馬桜年忘れ独演会」に行く。今年から全席指定にしたところ、メールでほとんど売れてしまったとのこと。つまり、会場にいるのはコアな馬桜ファンばかり。和やかで良い会だった。
  • 演し物は、まず新作「マキシム・ド・呑兵衛」。白鳥師匠作ということで、出囃子は「白鳥の湖」だったりした。現代を舞台にした、固有名詞頻発の新作落語。それでありながら、流れる空気はあくまで「古典」であり、これは演じている馬桜師匠の力量もあるのだろうが、とにかく、くだらなくて面白い。「新作落語」を聴くときには、なぜこれが「落語」の形をとったのか、に注目する。映画や漫才、コントではなく、なぜ「落語」なのか。三枝、文珍師匠の作る落語には、その説得力がある。昔昔亭桃太郎師匠の新作も同じ。単なる社会風刺なら漫談でやれば良いわけで、そこに「落語」の味をしっかりと加えている。「マキシム・ド・呑兵衛」も手法はすごく古典的なものであり、「落語」であることが最良の形だった。「しおからとひじきを和えたハーモニー」なんてやっぱり落語以外では使えない。この噺はすでにお二人の師匠が高座にかけられているとか。つまりは「これからの古典」になる可能性を秘めているわけだ。
  • もう一席は「掛取萬歳」。年の瀬にこの噺が聴ける幸せ。「芸能」全般に通じていなければできない噺で、こうした知識と経験がものを言う噺をどれだけ残していけるかが、「落語ブーム」今後の課題だと思う。馬桜師匠の高座については何を語っても野暮になってしまう。とにかく、機会があったら、ごちゃごちゃ言わないで聴きにいきなさい。もうそれだけ。
  • 落語の間には中村萬太郎(君?)の落語。歌舞伎役者中村時蔵丈のご次男。平成生まれですわよ。若い。貴重なものを見せていただきました。ええ、将来人間国宝になったら、自慢させてもらいますから。
  • 三増紋之助師匠の曲独楽。これがすごいのなんの。扇子や日本刀の上を独楽が渡る。圧巻は「トトロ」。これをもう一度見るためなら徹夜で並ぶよ。恐るべきものを見た! 素晴らしい。
  • 看病疲れでややてんぱっていたのだが、負の空気を一気に押しながしてくれました。良い「笑い」は人を救います。