怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

「CSI : ニューヨーク 死の冬」(S・カミンスキー)

「CSI : ニューヨーク 死の冬」(S・カミンスキー)
二月のニューヨーク。72番ストリートに近いヨーク・アベニューにあるアパートメントビルのエレベーターで男の射殺体が発見された。凶器は小口径の拳銃。被害者は三階に住むチャールズ・ルトニコフだった。だが、現場となったエレベーターは十五階まで直行する専用エレベーター。被害者はどこに行こうとしていたのか。被害者は高級カタログのライターをしていたと自称していたが、部屋の中にはそうした類のものは一つもない。捜査に当たる、マック・テイラーとエイデン・バーンは、最上階に住むミステリー作家、ルイザ・コーミア宅のドアに、かすかな血痕を発見する。ブルーバードホテルでは、裁判の重要証人であるアルバータ・スパニオが室内で刺殺された。部屋の前には警護の刑事が二人おり、現場は「密室」の状況にあった。捜査に当たるステラ・ボナセーラとダニー・メッサーは、唯一、開いていた窓に目をつける。何者かが上階よりぶら下がり、そこから侵入したのではないか。窓枠、壁面などから証拠が見つかり、やがて重要容疑者が浮かび上がるが……。エイデンが現役で、ホークスは検死官という、シーズン1の小説化。これも、他のシリーズと同じく、キャラクターだけを借りた、S・カミンスキーのオリジナル小説である。3シリーズの中で、実は本格度がむちゃくちゃに高い「CSI : NY」。今回もいきなり、ほぼ(?)密室状況下の殺人と、著名な女流ミステリー作家との対決が厳寒の街を舞台に並行して描かれる。密室の謎については実にあっさりと科学によって解かれてしまうが、どんでん返しなどは存在する。エレベーター殺人については、早々に犯人が判り、あとは証拠集めという段取り。作家の想像力と科学者の知識の対決という図式が、ミステリー読みをわくわくさせる。容疑者の逃亡劇なども盛りこまれていて、小説としての面白さもある。この作品は「CSI」ファン以外にもお勧め。