怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

いきもの係のなりたち

  • せっかくドラマになるのだから、プロモーションもかねて、小説のことをつぶやいたらいかが? と言われた。でも、別に語ることなんてないしなぁ……と思いつつ、「小鳥を愛した容疑者」を書いた八年前を思いだしつつ、書いてみる。興味ない人は無視して下さい。すみません。
  • いきもの係の設定は、実体験から。私はジュウシマツを飼っているが、十年近く、毎日の水換えとエサやりは欠かしたことがない。長期の旅行に出たときは、友人や便利屋さんに世話を頼んだ。もし自分が、何かで逮捕されたり、何かの事件に巻きこまれたら、この小鳥たちはどうなるのだろう……と考えた。
  • ヒロインの薄圭子には原型がある。「福家警部補の挨拶」収録の「愛情のシナリオ」に出てくる、ペットショップニノミヤの店員岩澤ゆかりだ。福家の聞きこみに対し、被害者の心配ではなく巻き添えを食った文鳥のことばかり心配し、憤る。わずか5ページの出演だったが、この人がそのまま薄になっている。
  • 丁度、殺処分の問題がクローズアップされ始めたころで、ならば、動物愛護の観点からも、警視庁に動植物専門の部署があってもおかしくはないと思いついた。ただ、ミステリーの世界で、犬や猫を扱ったものは多数存在する。さて……と頭を捻ったとき、空手仲間に部類のは虫類好きがいることを思いだした。
  • 普通、人が飼おうとは思わない動物にしぼれば良いのではないか。ミステリーに加え、飼育方法などを詳述し、情報小説としての側面も少し盛り込めれば、成立するかもしれない。そして、プロトタイプとして、自分が飼育していて知識のある小鳥を使って書いて見た。それが「小鳥を愛した容疑者」だ。
  • ちなみに小説では、福家警部補の世界といきもの係の世界は同じだ。どちらにも「石松」警部補が出てくるが同一人物である。福家の方に須藤が出たこともある。福家と薄の共演はあまり考えていないが、いきもの係が前編で福家が後編というクロスオーバーはいつかやってみたいものの一つだ。
  • 例えば「ペンギンを愛した容疑者」の冒頭で、田丸弘子が「先週は例のペットショップの事件にかかりきりでしたもんね」と言っているのは、「福家警部補の追及」の「幸福の代償」で須藤が現場に引っ張りだされていたことを指す。