- 風邪薬のせいでやや朦朧としたので、昼寝。寝っ転がりながら、桂枝雀師の「宿替え」を聴く。「枝雀の十八番」第一集版で昭和63年の録音。「宿替え」は、枝雀師が好きになった、というより、落語そのものが好きになった噺。かってNHKのラジオ放送を録音したテープがあり、その一席が神がかり的で好きだった。テープは現存し、一時、MDに移したりしたのだが、もはや、時代の推移について行けず、音源、すべて行方不明……。
- 私が好きなラジオ版「宿替え」は、亭主が荷造りをするところから、亭主とおかみさんの会話で進んで行く。録音版は、「枝雀落語大全」第六集の昭和59年版も含め、ずっと亭主の一視点で展開し、おかみさんのセリフが出てくるのは、荷物を持ち上げるところから。会話で進んでいく方がテンポが良く、個人的には好きだったりする。ラジオ版は当然、時間の縛りもあったのだろう、20分弱くらいでサゲまでいく。録音版はどちらも30分超え。少しゆったり目に聞こえるのは、そのせいもあるだろう。
- どのバージョンも抱腹絶倒で、落語芸として完成されたものではあるが、最初に聴いたすりこみというヤツなのか、ラジオ版を越える「宿替え」には、出会えぬままである。