- 惜しみながら、少しずつ読んでいる。なんと言っても素敵なのが、大天荘でのこのやり取り。
「本持って来てるんですか!」
「本ないと気が狂うんです」
「だって重いじゃないですか」
「心の安定には代えられません」
納得出来ないようで、 「でも重いし……」
- 大学時代、同じことを何度も山で言われた。
- 主人公は三泊四日の山行きに、文庫本三冊を持っていく。私も同じような感じだった。行きの夜行電車の中からさっそく読み始めれば、下山してくるころには読み終わってしまう。帰りの電車の分は、駅のキオスクで買ったりした。
- かなりの冊数を山で読んだはずだが、なぜかタイトルはまったく思いだせない。風雨のせいでズタボロになって買い直したものすらあるというのに。そしてこれまたなぜか、今思い出せる唯一のタイトルが西村京太郎先生の「ひかり62号の殺意」なのである。
- ふいに思い出した。南アルプスからの下山後、帰りの電車で読む本がなくなり甲府駅のキオスクで買ったのは、赤川次郎先生の「華麗なる探偵たち」だ。多分。