怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

相棒9話「編集された殺人」

  • 相棒シーズン6、第9話を観て、あまりの面白さにふらふらになった。

 

スナック椿のオーナー、椿トモアキが店内で刺殺された。発見者は妻のミホ。凶器は店内にあったナイフ。警察は、店の経営が思わしくなかったこと、夫であるトモアキが一晩中店から戻らないのにまったく心配しなかった、などから妻ミホを逮捕。彼女は被害者の死亡時刻に、父親と電話していたとアリバイを主張。だが、電話が携帯であったことから、アリバイとしては認められなかった。その後の取り調べの結果、彼女は犯行を自白。しかし、公判では一転、無罪を主張する。弁護に当たるのは武藤かおり。被告の自白は過酷な取り調べにより引き出されたものと断定、さらに弁護側証人として、スナック椿のアルバイト、三島陽子の出廷を求めた。ところが、陽子は検察側の証人でもあり、公判当日、彼女の証言ビデオが公開される。それによれば、被害者と被告の間の仲は険悪であり、店も閉店寸前であったらしい。
検察側に有利な証言に、武藤かおりは唖然とする。三島陽子は、かおりに対し、ミホを救うための証言をすると約束していたのだ。かおりは陽子の出廷を認め、証言ビデオについての真意をただそうとするが、公判直前、陽子は殺害されてしまう。
スナックオーナーの刺殺とアルバイトの撲殺。二つの事件に興味を持った杉下は独自に捜査を開始する。武藤かおりを通して入手した証言ビデオを見た杉下は、陽子が自分の証言を録音していた可能性、そしてそのビデオが検察側によって故意に編集された可能性を指摘する。
陽子はミホに有利となる証言をしていたにもかかわらず、検察がその部分をカット、有利になるよう必要な部分だけを法廷で流したとしたら。杉下は担当検事である鍋島司の許へ。
編集そのものに違法性はないが、もしその事実を陽子が知ったとしたら。鍋島検事は、陽子殺害の動機を持つことになる。
果たして、椿ミホは有罪か無罪か。証人である三島陽子殺害の犯人は……?

 

  • 武藤かおり再登場にも驚いたが、脚本、演出のあまりの出来の良さにも驚いた。こんな、こんなもの凄いことがあっていいものなのか。
  • 相棒は、倒叙もの、意外な犯人、謀略もの、法廷もの等々あらゆるミステリーのパターンをどん欲に吸収し、それらを「相棒ワールド」というものに昇華してきた。今回のエピソードはその総決算的な意味合いすらあるように思う。様々なパターンのカードを切りつづけてきた相棒だからこそ、今回はどのカードなのか極めて予測し辛い。そこを上手く突かれた。謎解きの面白さ、犯人指摘のカタルシスはここ何年かで一番だと思う。
  • シーズン6前半の評価が一般的にどのくらいなのか、よく判らない。私個人としては、申し訳ないが、あまり高いレベルにはないと思う。「蟷螂たちの幸福」「裸婦は語る」の本格嗜好の空回りが痛かった。6話、7話は未見。「正義の翼」は逆に本格ものをバカにしている感があって、そのくせ人間ドラマとしては陳腐で、大滝秀治様の出演がなければ、どうにもならなかったであろう一本。ただ、そんなものはどうでもいい。第4話「TAXI」と第9話「編集された殺人」があれば、もう満足だ。
  • 本編もさることながら、劇場版、元旦スペシャルと続く二本の予告編がすこぶる面白そうで、ヨダレが出た。しかし、元旦の脚本が古沢良太でないと知って、心底がっかり。
  • 劇場版のキャストからいって、やはりシーズン3オープニング「双頭の悪魔」三部作と関連ある話になるのだろうか。