- 通院介助の日。正月あけということで、予想通りの混雑。病気のバーゲンセールだ。死屍累々、気分は野戦病院。待っている間に気分が悪くなって倒れる病人多数。病人だから当たり前だ。病気を治すために病院に来た病人がバッタバッタと倒れ、どこかに運ばれていく。世も末な光景であった。
- 身内は相変わらずのヨレヨレであったが、専用の車いすを入手したことと、車いす用の車で送迎して貰えたことなどで、そこそこ落ち着いていた。もはや「直すのは無理」と宣言されているので、主治医に何の期待もしていない分、薬を院外処方にしろ、咳止めを寄越せ、便秘が治らない、保険金を請求するので診断書をすぐに書け、など要求もしやすい。
- 施設の人がいろいろやってくれるおかげで、通院介助の負担も減った。診察後、病院内にあるスターバックスでコーヒーを飲む余裕も生まれる。身内は両腕が使えないので、一人では飲食できない。小カップに分けたコーヒーをちびちび飲ませ、小さく割ったケーキを口に放りこんだりすると、「おいしい」なんて言う。身内のことは今もって大嫌いだが、さすがにここまでくると、一人の老人であり、少し可哀想になってきた。
- 若い人が介護をしなければならないことについては、問題山積みだ。最近、新たに思うのは、若い段階で、自分の親なりのヨレヨレ、ボロボロになった姿を間近で見つづけることの弊害についてだ。あまりに早い段階で人間の末路をまざまざと見せつけられると、人生、開き直ってしまう。少なくとも私はそうだ。あと十何年(もしかしたら、もっと早いかもしれない)したら、自分もこうなるわけで、そこに希望も何もあったものではない。一生懸命いまを生きたところで、待っているのはこういう状況……という現実が見えてしまう。少なくとも、未来を思い描いている若い人に見せるべき光景ではないなぁ。君たちは美味いものを食って、綺麗に着飾っているが、結局は寝たきりになって、下手すればやせ衰えて、排泄物まみれになりながら、何年も暮らすんだよ……なんて現実、なるべく長く気づかせないでおいてあげるのが、人情というものだろう。若い時点でそこに気づいてしまえば、一生懸命、働いたりなどできないよ。
- いろいろと打ちひしがれつつも、ボーグ星人などを作っていた。