怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

「よくアイディアがつきませんね」

  • 藤子・F ・不二雄大全集の「ドラえもん4巻」に収録されている、藤子・F ・不二雄先生のあとがき。もともとは「藤子不二雄自選集2」に収録されていたものだが、実にものすごいことが書いてあって震える。
  • 「よくアイディアがつきませんね」という問いに対して、「ナントカカントカ、七転八倒しながら捻りだす」と答え、続いて、「ナントカカントカ」とは具体的に何なのかについて書いている。

(以下引用)

アイザック・アシモフ氏のエッセイ集「空想天文学入門」(中略)の「とほうもない思いつき」という章で、独創力のための条件として、1 数多くの知識の断片を持つこと。2 その断片を組み合わせる能力を持つこと。などが挙げられているのです。「断片の組み合わせ」、いわれてみれば正しくそうでした。ぼくが三十年間やってきたのはこれだったのです。例えば……
「のび太の恐竜」という作品があります。「恐竜」という断片が核になっています。これが古代の生物であるということは、全ての人の持っている知識です。これを「のび太」という現代の少年と組み合わせることから「ナントカカントカ」が始まるわけです。時代のギャップを埋めるために「タイムマシン」という断片が援用される。「動物を飼いたがる子」「飼いたがらない親」「目立ちたがり屋」「化石」「フロシキ」「住宅事情」……。その一つ一つを取ってみれば誰もが知っている断片を、組み合わせることによってこの作品は成り立っているのです。実にあっけないほど簡単なことではありませんか。
でも、それを「面白くする」のが大変なのですよ。

  • これ、これですよ。これがすべての答えですよ。
  • 「動物を飼いたがる子」「飼いたがらない親」が出てくるあたり、美しすぎます。あまりにも見事で、ぐうの音の出ません。藤子・F・不二雄先生、恐るべし。
  • ああ、こんなふうになれるのなら、悪魔に魂を売ってもいい。