怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

座頭市

  • 先日、勝新太郎、監督主演の1989年版「座頭市」をテレビ東京で放送していた。この世にある時代劇でトップ5に入るほど好き。座頭市の上に君臨するのは、若山富三郎の子連れ狼「三途の川の乳母車」なので、この兄弟によって私の時代劇ライフは支えられているわけだ。
  • で、この「座頭市」すべてが素晴らしいのだけれど、どうにも気になる箇所が二つ。一つは露天風呂で樋口可南子と抱き合う濡れ場。ここがとにかく延々続く。嫌になるほど続く。水面に映った月が雲に隠れたり出たり、その微妙な光の加減を見事に調整していたりして、画的には凄いんだけれども、とにかく長い。もう一つは八州廻りが酔って女衒をなで切りにするところ。刺して突いて切り刻んで血が飛び散って無残極まりないシーンが延々続く。両方ともストーリーにはまったく関係がなく、勝新の美学として、ただ必要なものだったのだろう。
  • でもやっぱり、この二カ所はない方がいいよ、と思いつつ数年、90年代初め、やはりテレビ東京で放映された「座頭市」を見て驚いた。放送時間の問題か、放送コードの問題か、女衒なで斬りがまるまるカット。私の願い通りの映画になっていた。この短縮版はビデオ保存しすり切れるほど見た。
  • そして2010年、テレビ東京で再び「座頭市」が放送される。おそらくはあの短縮版をそのままやるんだろうとHDDレコーダーをセットし待ちわびた。結果は、まさに、惨殺シーンがカットされた短縮版! しかーし、悲しいかなこの20年で、放送コードはさらに厳しくなったらしい。各所各所がちまちまとカットされていたのだ。宿屋の入り口で刺客と斬り合うシーンでも、傍で怯える娘の脇に切れた耳が飛んでくる1秒にも満たないシーンがカットされていた。陣内の生首がさらされるところもカット。でも、頭に杖を突き刺すシーンは残っているんだなぁ。基準がよく判らない。
  • まあ少々残念な部分はあったものの、とりあえずは、「座頭市」を録画することができた。これでいつでも好きな時に、「座頭市」を呼び出すことができる。