怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

ミステリマガジン 海外ドラマレビュー補足その2

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ミステリマガジン5月号の海外ドラマレビュー。今回は「ルーク・ケイジ」を取り上げています。少し前、補足として「ジェシカ・ジョーンズ」について書きましたが、今回は「ルーク・ケイジ」の各話のざっとした感想です。ネタバレは極力さけているつもりですが、避けきれていないものも。ご容赦下さい。

次の海外ドラマレビューは、あのゾンビものの予定です。

「ルーク・ケイジ」

第1話

キルグレイブとの闘いの過程でヘルズ・キッチンを追われたルーク・ケイジは、ハーレムへ。そこで出会った理髪店の主人ポップの元に転がりこみ、皿洗いとして静かな生活を送っていた。そんな中、ハーレムでは通称コットンマウスが力をつけ、街の裏社会を牛耳ろうとしていた。しかし、ポップの店に出入りする若者たちがコットンマウスの金を強奪したことから、事態は暗転。ルークも巻きこまれていく。鉄の皮膚を持つ怪力の壊れない男が主人公であるから、前作「ジェシカ・ジョーンズ」とは正反対の方向に物語は進む。力と力のぶつかり合い。これは燃える。

第2話

事件を捜査するミスティーとスカーフの刑事コンビは、現場から逃走したチコを探す。一方、ポップに背中を押されたルークもまた、チコを探していた。ルークを通じてポップの思いを知ったチコは、彼を頼り店に姿を現す。ギャング、警察双方から追われるチコを、ルークは守りきれるのか。思っていたより早い展開。「ジェシカ・ジョーンズ」の時とは違って、陽気な鬱展開が繰り広げられる。それにしても素晴らしいよ、コットンマウス。冒頭のひげ剃りシーンは歴史に残したい。

第3話

コットンマウスを倒すことを誓ったルークは、彼の資金がすべて集まるという「要塞」に単身攻撃をかける。弾丸も弾く無敵のルークは、コットンマウスをさらなる窮地に追いこむことに。相手はギャングとはいえただの人だしなぁ。卑怯なくらい強いルーク・ケイジ。こんなに強くて、どうやって13話、もたせるのだろう……と思っていたらすごいものがラストに炸裂していた。

第4話

コットンマウスの攻撃により瓦礫に埋まったルーク。彼の意識は、かつて刑務所で過ごした日々へと遡る。無実の罪で収監された元警察官カール・ルーカスは、刑務所で行われていた地下格闘技の選手にスカウトされるが……。過去の現在を絶妙のリズムで見せる。どうすればこんな粋なリズムが作れるのだろうか。コミックとはまた違う「ルーク・ケイジ」誕生秘話。

第5話

700万ドルを奪われ、進退窮まるコットンマウス。彼はハーレムの住人から現金をむしり取り、その責任をルークに押しつけようとする。ギャングたちの非道を知ったルークは一人、また一人と倒していく。そんな中で、ポップの葬儀が行われる。骨太な物語が展開していくが、この回で、ハーレムにクレア・テンプルが戻ってくる。これで全三作に皆勤出演。そしてここまで、ルーク無双。そろそろ、危ないかな。

第6話

コットンマウスと「悪徳警官」が対立。警官は重症を追う。彼はコットンマウスの悪事を記したメモを交換条件に、ルークに助けを求める。だが、彼に賞金をかけたコットンマウスの猛攻は続く。ルークは警官を守ることができるのか。折返しのここで、コットンマウスに動き。もっとバリバリ出番増やして欲しいなぁ。コットンマウス。ルーク無双で、最近ちょっとかわいそうに見えてきたところだった。いい悪役は名作の条件。

第7話

結局、コットンマウスは釈放される。ルークへの復讐を誓うコットンマウスは秘密兵器である「ユダ」を手に入れるため、ジェイドを通じ、ダイヤモンドバックとコンタクトを取ることに。一方、彼の逮捕を受け、マライアの政治生命も風前の灯。ライバル議員に辞職を進められ、追い詰められた彼女がとった行動とは……えぇ? もう退場なの? いや、もっと見せてよ。あと半分あるのに。彼なしでもつの?

第8話

マライアとジェイドはルークに殺しの濡れ衣を着せることに成功。さらに、街には「ユダ」を持ったダイヤモンドバックがやって来る。ユダのため重症を負ったルークは、看護師のクレア・テンプルの力を借り、逃走を続ける。しかし、防弾の肌に食い込んだ弾丸を取り出す術はない。唯一の可能性は、ルークの過去にあった。それにしても、嫌な顔をした俳優さんがたくさん出てくるドラマだ。コットンマウスの嫌顔はもちろんだが、次にジェイド、そしてマライアは潔いまでの嫌顔。そこに粗暴な嫌顔ダイヤモンドバック。これだけの嫌顔がさらり揃うのも、アメリカならではか。

第9話

ルークの逃走劇に巻き込まれ、ミスティ・ナイト自身も取り調べを受けるハメに。このままだと職を追われることになりかねない。逃走を続けるルークは、警官二人を倒すが、その模様は撮影されており、ネットを通じ流出していく。クレアはルークを救うため、かつてシーゲート刑務所に勤務していたバーンスタイン医師を訪ねることに。ルークの防弾能力を作った張本人。果たして……。何か判らないけどできちゃった! で片付けるのかと思っていたルークの特殊能力。ジェシカと同じで、一応、過去探しがあるのね。

第10話

バーンスタインとクレアはルークを治療するための「実験」を開始。治療は一応の成功を見るが、その結果、ルークは妻であったレバの「正体」を知ることになる。一方、ダイヤモンドバックは「ユダ」の量産化―図り、マライアへと接近していく。そしてルークへの嫌疑をさらに確固なものとするために……。ルークの皮膚は貝の殻かぁ。なるほど。ルークとダイヤモンドバックの因縁も語られるが、な、何か長く感じてきた。そろそろ決着を……。

第11話

警察官による黒人少年への暴力が表面化、ハーレムではマライアの主導で集会が。だが、そこに現れたミスティとルークを巡り、ダイヤモンドバック一味との壮絶な銃撃戦が。負傷したミスティをかばい、防戦するルーク。生き残るのは誰か。籠城戦となったハーレム内での攻防だけの一本。望み通り決着がつきそうなのだが、まさか序盤の銃撃戦で1エピソードとは。いや、半分以上は褒め言葉。すごく面白いし。

第12話

籠城戦の結果、マライアは容疑者として勾引され、ジェイドも逮捕される。追い詰められていくダイヤモンドバックに対し、ギャングたちもまた反撃に出る。そして彼らと決着をつけるべく、ルークもまた脱走し街へ出る。メソッド・マンが本人役で出るというので、一部、注目を集めていたエピソード。もう後半はなんかゴリゴリの展開で、見ていてゴリゴリした。そして、パンパカパーン、あの、作業着にしか見えねえというウルトラダサ吉のハマー社製アーマードスーツ登場。

第13話

アーマード・ダイヤモンドバックとルークの死闘。勝敗の果てにあるものは何か。第一シーズンのフィナーレ。はっきり言って、決着が着くものは何もなく、シーズン2お楽しみに! というラストなのだけれど、なんというか、これだけ濃厚なハーレム舞台の黒人ヒーロー物語を、東洋の落ちぶれた国の黄色人種がPCで見ているわけで、まあどこまで本当のところが理解できたかは自信ないのだが、とにかくいろいろと心打たれたのは確か。こういう形で、自分たちの矜持が語れるというのは素晴らしい。