怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

ミステリマガジン 海外ドラマレビュー補足その1

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  • ミステリマガジン5月号発売! 今回の海外ドラマレビューは、「ルーク・ケイジ」。マーベル ✕ Netflix の第三弾ヒーロー。文字数の関係で、「ルーク・ケイジ」の前日譚でもある「ジェシカ・ジョーンズ」にはほとんど触れられなかったので、補足。
  • 見ていなくても、「ルーク・ケイジ」は問題なく楽しめるが、「ジェシカ・ジョーンズ」を見ていると、数倍楽しめる。
  • ヒーローとヒロインがガンガンやりまくってる構図ってのも、なかなかない展開だし。
  • マーベル ✕ Netflix 、第一弾は「デアデビル」、第二弾が「ジェシカ・ジョーンズ」、第三弾が「ルーク・ケイジ」、第四弾が「アイアン・フィスト」、第五弾が「パニッシャー」となる。「デアデビル」はシーズン2、「ジェシカ・ジョーンズ」もこの程、シーズン2が公開された。「ルーク・ケイジ」もシーズン2が決っている。さらに、デアデビルからアイアン・フィストまで四人のヒーローが共演する「ディフェンダーズ」というミニシリーズも制作されている。つまり、すべては同一世界での出来事という設定だ。相関関係が密なものもあるけれど、基本的には独立していて、単独で見ても充分、理解できるものになっている。これらはすべて、Netflixで見ることができる。ぜひ!

「ジェシカ・ジョーンズ」

第1話

ニューヨーク、ヘルズ・キッチンで私立探偵をしているジェシカ・ジョーンズ。彼女の許に、行方不明の娘ホープを探して欲しいとの依頼が。依頼主は両親で、あるイギリス人男性から、ジェシカのことを聞いたという。それはジェシカ自身の忌まわしい過去を思い起こさせるーー。様々に派生しているマーベル・シネマティック・ユニバースの一本。「アベンジャーズ」で破壊されたニューヨークがその後の舞台。といっても、別にコスチュームを身につけたセクシーヒロインが大活躍する内容ではない。むしろ、真逆とだけ。

第2話

ホープ捜索は悲劇的な幕切れを迎え、彼女は逮捕される。彼女を救うため、再び立ち上がるジェシカ。彼女はジェリ・ホーガスに弁護を依頼、かつて自分を操り、すべてを奪った仇敵キルグレイブと向き合う覚悟を決める。一方、ルーク・ケイジとの関係を深めていくジェシカだが、そこにも思わぬ事実が。一言声を聞かせるだけで、人―思いのままに操ることのできるキルグレイブ。いやもう、何ていうか、ここまで嫌な話を作れるかねと関心するほどに、素晴らしい。そしてーパーヒロインとスーパーヒーローのセックスもまた。

第3話

キルグレイブの被害者を探すジェシカは、その過程で、彼の弱点を発見する。それは入手困難な麻酔薬だった。薬によって完全に意識をなくしてしまえば、キルグレイブの能力を封じることができるのだ。一方、ジェシカの親友トリッシュは、自分の番組でホープの件を取り上げる。そして番組内でキルグレイブを中傷した彼女の身にも危険が迫る。ついにキルグレイブ登場。相変わらず、大した救いもなく、キルグレイブの残忍さがひときわ際立つ内容。そして、スーパーヒロインとスーパーヒーローのセックスもまた。

第4話

離婚弁護士の紹介でオードリー・イーストマンが訪ねてくる。彼女の依頼で夫の浮気写真を撮影することになったジェシカだが……。キルグレイブに操られトリッシュを襲ってしまった警官ウィルは、ジェシカに協力を申し出る。ジェシカは彼を使って、彼女の周囲に潜伏しているキルグレイブのスパイを暴く作戦を実行する。果たして、スパイの正体は? 実は話の柱は浮気写真撮影の方。この世界が「アベンジャーズ」後であることを思いだす。緑の巨人とアメリカ服の男か……

第5話

スパイを逆に利用することで、キルグレイブの居所を突き止めたジェシカ。彼女はトリッシュ、ウィルと共に、キルグレイブ捕獲作戦を実行にうつす。そんな中、ジェシカの脳裏にはキルグレイブと出会った時の忌まわしい記憶が蘇る。ああ、また失敗して何の罪もない人が地味にひどい目に遭うんだなぁという予想は何となくつくので、見るのが本当に辛い。スーパーヒロインの物語なのに、嫌なドラマ、本当に嫌なドラマ(褒め言葉)。

第6話

ジェシカの許に別れたはずのルーク・ケイジがやって来る。彼はアントワン・グリアの捜索を依頼。借金を抱えたまま一週間前から失踪だ。ルークは姉のセリーナのため、彼を探しているという。ルークの目的は妻が死んだバス事故について。セリーナは「事故の真相」に繋がる証拠を持っているという……。それがたまたまルークの妻だった、という偶然は気になるところだが、前半部分の山場。セックスはないけど。

第7話

キルグレイブにより、ジェシカの周りでさらなる犠牲者が。限界を感じたジェシカは自らを重罪犯にして刑務所に入ろうと考える。マルコムやトリッシュの制止も聞かず、事を進めていくジェシカの運命は。一方、弁護士のホーガスは、離婚を巡るゴタゴタがさらに深刻な状況へ……。これだけ嫌なことが続き、画面狭しと活き活きしているのが、悪党のキルグレイブただ一人という7話。ここがちょうど、折り返し。すごいドラマだなぁ

第8話

ジェシカが子供時代に暮らしていた家を完全再現したキルグレイブ。彼はそこにジェシカを呼び寄せ、暮らし始める。彼女が抱える子供時代のトラウマとは。操られた召使たちを「人質」に取られ、ジェシカはこのままキルグレイブの軍門に下ってしまうのか。ホーガスの離婚裁判、ウィルの独断行動などが散りばめられ展開していく。この辺り、大団円に向けた伏線なのだろうなぁ。

第9話

キルグレイブを監禁することに成功したジェシカ。刑務所のホープを救うためには、キルグレイブが人ょ操ることができる証拠を示さねばならない。ジェシカは彼を追い詰め、人を操る瞬間を映像におさめようとする。完璧に見えた計画だったが、様々な思惑が絡み合い、ある瞬間を起点にして崩壊していく。その悲劇的結末は。大きな絶望とかすかな希望がラストシーンで交錯する名編。この辺りはしっかりと計算して作られていて、何というか、ドラマの世界はまだまだ進化しているのだと実感。

第10話

脱出したキルグレイブは父親を連れ、自らの能力をさらに強めようと画策する。そしてその間も、犠牲者は増え続ける。キルグレイブから提案された取引に、ジェシカは応じるのか。主人公の足を引っ張る頭の悪いヤツってのが二人も出てくるのだが、そこに至る伏線がしっかりしているので、さほど気にならない……と思う。しかし、死ぬなぁ。この人は死なないで、この人は死なないだろうと思っていた人たちが次々死んでいく。

第11話

キルグレイブを生かしておく理由を失ったジェシカは、彼の殺害を決意。だが、その前に立ちはだかるのは、キルグレイブではなく、不思議な薬によって力を得たウィルだった。強い絆で結ばれたジェシカとトリッシュが最悪の状況を切り開いていく。逆転なるか。ここでようやく、ジェシカとトリッシュの「起点」が描かれる。それにしても、驚くべきはウィルだよなぁ。偶然、キルグレイブに使われただけだろうに。すごいことになっている。この辺はちょっと引っかかる。

第12話

キルグレイブの魔の手は、ついにルーク・ケイジにまで伸びていく。一度は別れた二人だが、再び協力をしてキルグレイブに向かう。ジェシカはルークと協力し、連れ去られたままのキルグレイブの父親を探す。キルグレイブはパワーアップしたのか。ジェシカの「切り札」はまだ通用するのだろうか。しかし、事態は予想を越えたものに。ルーク・ケイジ再登板。結末はかなりびっくりする。しかし、ジェシカとルークの因縁もけっこうな偶然が絡んでいたりして……今後、これが偶然ではなかったことになるのだろうか。

第13話

看護師クレア・テンプルの協力を得て、ルークとともに病院を脱出したジェシカ。彼女はパワーを増したキルグレイブとの対決に望む。最終決戦にしてこの地味さ! ヒーローものの範疇にはまったくおさまらない、すさまじいドラマだった。ヒーローであるべきジェシカの周りに広がるのは死体の山。いったい何を守れ、何が守れなかったのか。無敵であるべきヒーローが容赦なく追い詰められる凄み。リアリティとかそんな薄っぺらな言葉では語れない。とにかく、今までに見たことのないようなドラマであることは間違いない。それにしても、惜しい人たちがたくさん死んだなぁ。