怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

ゴンゾウ

  • ゴンゾウとは、能力、経験はあるのに仕事をしない警官をあらわす隠語。水曜9時、いわゆる「相棒」枠で放映中の「ゴンゾウ」があまりにも面白く、最終回はまだ先とはいうものの、これをリアルタイムで見ておかないと損失ではないのかなという思いもあり、会う人皆に勧めている。第5話まで観た感覚だと、「勧めて良かった」。
  • 「ゴンゾウ」は1話完結ではなく、「バイオリニスト射殺事件」の捜査を多角的に追っていく連続もののスタイル。一話、一話で被害者、刑事、目撃者、被害者の肉親をそれぞれ描いていく。

「第1話 ダメ警官登場」

かって捜査一課の切れ者と言われながら、今ではすっかりやる気をなくし、井の頭署の備品係として勤務する、黒木。彼はバイオリンを無くしたと署にやってきた、もなみという女性と出会う。井の頭署では、未成年相手に売春行為を行っている男を内偵中。新人女性警察官の鶴は、おとり捜査を行うことに。容疑者ニコラスを首尾良く逮捕した鶴たちだったが……。同じ頃、捜査一課13係では、女性殺しの容疑者として梅原教授を取調中。取調べに当たるのは、係長の佐久間。サイボーグとあだ名される佐久間は、完全否認の梅原を落とすことができるのか。
ゴンゾウの活躍(?)で事件が解決した雨の夜、惨劇が起きた。


「第2話 第一容疑者」

署からバイオリンを引き取り、帰路についたもなみが銃撃された。一緒にいた鶴もまた銃弾を受ける。もなみは死亡、鶴は重傷を負う。井の頭署の捜査本部に乗りこんできた13係。佐久間は備品係の黒木を捜査本部に加えるよう進言する。一命を取り留めた鶴だが、ショックのため口をきくことができない。救急車の中で彼女が「私のせい」とうわごとを言っていたことから、犯人の狙いは鶴にあり、もなみは巻き添えとなった可能性が。一方、井の頭署の日比野は、かって覚醒剤中毒で逮捕した男、飯塚と再会。刑期を終え出所したばかりだという。日比野は飯塚逮捕のきっかけが鶴の職務質問にあったことを思い出す。出所のタイミング、靴についた泥など、飯塚が犯人である可能性は高い。日比野はベテラン寺田とともに、飯塚の許へと向かう。第一容疑者飯塚は真犯人なのか。鶴はショックから立ち直ることができるのか。


「第3話 目撃者ロダン」

捜査本部に復帰した黒木の働きで、目撃者の発見に成功。現場付近に住むホームレスで、二年近くひと言も口をきかないことから、ついたあだ名がロダン。黒木に心を開いたロダンは、事件当夜、犯人がロダンの段ボールハウスに潜伏、銃で脅されたと供述する。彼の証言でモンタージュが作成され、犯人逮捕は近いと思われたが……。かって捜査一課の切れ者として通っていた黒木。だが、三年間現場を離れていた代償は大きい。かっての栄光を取り戻すことはできるのか。黒木にこだわる同僚、佐久間の真意は……?


「第4話 天使の証明」

もなみはなぜ、銃撃されたのか。動機を捜すべく、黒木たちはもなみの身辺を洗い始める。「男関係もなく、敵もいなかった」とする両親の証言を信じる黒木。だが、佐久間は納得しない。「もなみが天使であった」ことを証明すべく、再び捜査を始める黒木だったが、彼女がキャバクラでバイトをしており、投資コンサルタント柿沼の情婦であったことが判る。柿沼は詐欺まがいの行為をくり返す悪質なコンサルタント。だが現在は破産寸前で行方不明となっている。暴力団から命を狙われているという柿沼。捜査本部は無事、彼を見つけだすことができるのか。そして黒木は、もなみが天使であったことを証明できるのか。

 

  • 第1話は同時に起きた別の事件をそれぞれの人間が解決していき、それがそのままキャラクター紹介になるという、これ以上はないという完璧な第1話。
  • 第2話は、「犯人の狙いがどちらにあったのか」という謎が魅力。徒然亭四草が真犯人でないことは誰が見ても判るけれど、「疑われても仕方なし」という状況をしっかり伏線に組み入れているあたりはポイント高し。
  • 第3話の逆転は予想の範囲内だが、エンディングが白眉。そこにセリフを入れなかったことに拍手。
  • 第4話のラストはひっくり返るほど驚いた。やられた。ここまでやれば、次回最終回でもいいんじゃないかと思わせるくらい素晴らしかった。もなみの両親を演じた秋野大作、浅利香津代両氏も素晴らしい。
  • 「ゴンゾウ」は近頃はやりの「警察ドラマ」(組織ドラマ)ではなく、往年の香りが漂う「刑事(デカ)ドラマ」である。傑作、必見。シーズン7まで放映させて映画化させるのだ。ちなみに、「相棒」は「探偵ドラマ」ね。