怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

吉朝師匠独演会

  • 国立演芸場にて行われた「桂吉朝独演会」へ行く。今年5月の独演会でノックアウトされて以来、二度目である。今回の演目は「さぎとり」、「深山隠れ」、「くっしゃみ講釈」。「さぎとり」は枝雀師匠以外で聴くのは初めて。動物の擬人化は枝雀師匠の十八番であったが、吉朝師匠も「ちょうどいい具合に」継承されている。にわか三連発が突然挿入されていて驚く。「深山隠れ」はもっとも楽しみにしていた演目。のりは伝承民話であり、冷静に考えてみるに陰惨極まりないお噺。なにしろ、村人全滅、999人殺しだし。ただ、ここに登場する源吾なる剣術者。これが格好良い。怖がりで度胸がないと思わせて、その実、なかなかの計略家であったりする。落語における最大のヒーロー、実はこの源吾ではないかと思っている次第。約40対1の闘いに勝ち、999人がやられた罠を撃ち破るわけですから。ただ、噺家の御難から始まるくだりは何となく妙である。源吾を旅の武芸者として、通りかかった村を救うという、正当派ヒーローものとして演ずる師匠もおられる。こちらの方がすっきりしてはいるのだが、落語の魅力というのはどっか妙ちきりんなところにこそ存在するのであり、どちらが良いかは即断できかねる。「くっしゃみ講釈」はもう言うことなし。もはや十八番の勢いであった。
  • 1月には桂小米朝師匠が独演会をされるとか。「地獄八景……」ですか。ちょっと不安(失礼)。