怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳とマニキュアをした銀行ギャング!

  • 「特捜最前線」 第167話 マニキュアをした銀行ギャング! (脚本・長坂秀佳 監督・田中秀夫)を見た。あまりの面白さにふらふらとなる。


逃亡中の凶悪犯三人が、銀行を襲った。警官に追われ三人は逃亡。その途中、負傷した一人を射殺。何の関係もない三人が、なぜ手を組んだのか。数日後、同じ銀行の支店長室に一人の女がやってくる。彼女は超法規的措置で海外に逃亡した黒の十字軍の女闘士であった。支店長と警護に当たっていた叶を人質にとり、三億を要求する女。凶悪犯を手下にしていたのは、彼女であった。その一人、蜷川は支店長宅に刑事を装って訪問。妻と子供を人質とする。十分ごとの電話連絡が途切れると、妻子は殺害される。叶の機転で事件を察知した特命。伝説的女闘士と特命課、3時間25分の攻防を描く。

  • 以下、ネタばらしを含んでおります。
  • 長坂秀佳お得意、場面が切り替わる度に、時刻を入れる。支店長の出勤が8時10分。そこから事件が始まる。支店長宅に行き、刑事を名乗るのが蜷川という男。これが、半ば頭のおかしいヤツで、子供に異常な憎しみを持っている。既に三人の子供を殺し逃亡しているという設定。これ、あきらかに女闘士の人選ミスなわけだが、「いかにも殺してしまいそうな男」をそこに配することで、見ているこっちの心臓はバクバクである。
  • 支店長室に設置された2つの警報機。女闘士と手下に部屋が占拠された後、叶がそっと警報機を押す。特命はテストなのか、本当に異変が起きたのか困惑。とりあえず紅林、吉野を派遣する。その直後、女闘士の口から妻子を人質にしている旨が叶に告げられ、「パトカーのサイレンが聞こえたら、即座に殺す」との警告が。サイレンをガンガン鳴らしながら接近してくるパトカーとのサスペンスがここでまた一つ。それを切り抜ける叶の行動もすごい。それを読み取る神代もすごい。
  • 事件を察知した特命は、紅林を銀行員に変装させ、部屋に入れようとする。それを神代が止める。女闘士は特命課のメンバーを全員知っている。少々の変装ではバレる。そこで神代がとった手は……。高杉婦警の活躍。
  • 高杉によって持ち込まれた盗聴器。叶がそれをどこに仕掛けたのか。犯人も特命も視聴者も判らない。そこが後半のポイント。
  • 盗聴器によって支店長宅に犯人の一人がいると判明。橘たちが向うが、何と、既にもぬけの空。ここで、「人質行方不明」のテロップが出て、背筋が凍る。
  • 蜷川と人質は第2のアジトに移動。そこから電話連絡をしてくる。蜷川は目があちらの世界にいっており、いつ妻子を殺してもおかしくない状況。特命は電話のダイヤル音から、アジトの場所を割り出そうとするが、そのとき、盗聴器が発見される。
  • 叶の機転で、形勢を逆転。叶の蹴りで窓を突き破り、コンクリートに叩きつけられる犯人の一人。拍手。
  • 女闘士との挌闘に。だが、はずみで銃が暴発。女闘士は崩れ落ちる。十分ごとの電話が無ければ、妻子は殺される。でも、場所は判らない。どうする叶……。
  • 第2アジトでナイフを振り上げる蜷川。そこに電話! 鳴ると判っていても、思わず息を止めている。
  • 第2アジトに接近するパトカー。サイレンを鳴らし、すぐ脇を通過する。それを窓から見る蜷川。サイレンなんて鳴らしてくるわけないだろうが、と心の中で思っていると、それすらトリックだったりする。事件解決11時35分。
  • 要するに、面白いうえに、あまり突っ込みようのない、完璧な展開であったりする。ああ、こんなすごいものを書きたいものだ。ちなみに、女闘士を演じているのは、根岸季衣。善良な支店長に佐原健二。