怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と「特捜ヘリ102、応答せず!」

  • 特捜最前線第210話「特捜ヘリ102、応答せず!」(脚本・長坂秀佳 監督・村山新治)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。

[ストーリー]
 長野県南佐久付近において、警察官射殺容疑で手配されている宇田川が発見された。特命課吉野刑事は警官隊とともに宇田川を追跡する。けん銃を乱射し、抵抗する宇田川。何とか身柄確保に成功した吉野だが、宇田川の撃った一発は、付近で釣りをしていた少年に命中していた。南佐久組合病院に運ばれる少年。手術をすれば、命は助かる。しかし彼の血液型は、世界に82人しかいないという珍しいものであった。
 けん銃事故発生から数時間後の8時10分、東京中央血液センターから1400ccの輸血用血液が紅林たち特命の手で運び出された。城北へリポートよりヘリで空輸。南佐久まで運ぶ手はずである。
 8時40分。紅林たち、城北ヘリポート着。だが、パイロットの姿がない。やむなく、紅林が操縦することに。
 8時45分、ヘリ発進。その数分後、ヘリに無線が入る。輸血用血液の血液型を間違えてしまったため、正規の物を渡したいという。パトカーの誘導に従い、いったん着陸するヘリ。紅林に近づいてきた警官の手には銃があった。
 輸血用血液を運搬中の特命ヘリ102が警官に変装した男によってジャックされた。人質は紅林と看護婦1名。ヘリは犯人に命じられるまま、南佐久から離れていく。12時までに血液を届けなければ、少年は死んでしまう。
 神代たちは総力を挙げてヘリを追う。やがて、犯人の身元が判明。男の名は柏崎。かって宇田川と同じ刑務所にいた男である。柏崎は護送中の宇田川を引き渡すよう指示。9時40分、ヘリは小鹿野上空を通過する。
 宇田川を引き渡した特命課。わずかな手掛りから、彼らの目的を探る。やがて、二人が現金輸送車襲撃に関与していたことが判明。強奪された5000万はいまだ行方不明である。宇田川はその金の行方を知っており、柏崎の狙いもその金にあるのではないか。
 10時10分、着陸したヘリを目撃したと子供たちから通報。付近の公衆電話で宇田川は何者かに連絡をとったらしい。彼には愛人がいる。
 一方、愛人をマークしていた桜井刑事は、女の尾行を開始。
 10時35分、ヘリは小久保ダムに着陸。柏崎らは岩陰に埋めた瓶を掘り出すよう、紅林に命令する。
 タイムリミットは1時間半を切った。後手後手に回る特命課に勝ち目はあるのか。そんなとき、少年の容態が急変する。

  • 長坂節爆発のサスペンスである。こせこせしていない、一直線のサスペンス。
  • 犯人柏崎を演じるのは、山本昌平。血も涙もない凶悪犯である。そのため、微妙な駆け引きなどは一切、なし。目的のためには手段をえらばない犯人の粗暴さと、それを追う特命課たちの推理。両者の対比が面白い。
  • ゲーム性が乏しいサスペンスであるため、前半はやや引いて見てしまう。だが、中盤、同行している看護婦がまさかの活躍を見せるあたりから、異様にテンションアップ。愛人の存在がクローズアップされ、既にその場に桜井が貼り付いているという格好良さ。尾行を勘付かれまかれてしまうが、それを即座に叶がフォローしていく。主役はあくまで紅林なのであるが、神代をはじめとするメンバー全員の活躍がバランスよく描きこまれている。こういう脚本を書ける人は、そうそういるものではない。
  • 粗暴凶悪犯と対決するプロ集団を描ききった傑作。ラストの一コマでは涙が出る。