怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と殺人クイズ招待状!

  • 特捜最前線第248話「殺人クイズ招待状! (原案・岸牧子、脚本・長坂秀佳 監督・藤井邦夫)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。


帰宅途中の紅林に不審な男が近づく。男は自らを「救世主の使い」と名乗り、スーパースターの殺人予告を行う。
翌日、特命課に紅林あての封書が。それは、「救世主の使い」による挑戦状だった。
これより金曜日ごとに手紙を送る。
それぞれの手紙には、「犯行の日時」「凶器」「場所」「相手の名前」を暗号で記す。
暗号を解き、答えを指定の方法で発表せよ。
全問正解すれば、犯行は中止する。
一通目は、某画家の描いた絵の切り抜き。だが、射殺犯追跡におわれる特命課は、答えをだすことができなかった。
その夜、ジャガーズの小山田投手宅が放火され全焼。「救世主の使い」はそれが自分の仕業であると宣言する。もしまた解答が発表されなければ、次は子供を殺す。
宣言文をマスコミにばらまかれた特命課は窮地に。それでも神代は暗殺予告の報道をさし止める。
二通目は「58°」という文字。正解は新宿駅掲示板に赤チョークで書くこと。
三通目は「3」という数字のみ。正解を書いたプラカードを持ち、歩行者天国を歩くこと。
四通目は「3×3」。
犯行予告日まであとわずか。犯人が狙う「有名人」とは誰なのか。犯人はなぜ、紅林の前に現われたのか。究極の殺人ゲーム。特命課は暗殺を未然に防ぐことができるのか。

  • 原案の岸牧子が後の内館牧子であることは、日本人なら誰でも知っていること。原案ありきの展開なので、何となくちぐはぐで奇妙な味わいを残す。
  • 劇場型ゲーム犯罪ではあるものの、暗号はある意味稚拙、ある意味無責任な作りになっていて、そこが一番のウイークポイントか。
  • とはいえ、暗号解読までのサスペンスは秀逸であり、「わざと回り道させる」というお約束もばっちり決まっている。特に「凶器」の「58°」は良かった。解読後も、犯人の意図した「二重の意味」はなかなか練りこまれていて、蛇足感もない。
  • 犯人が途中で判明し、紅林との駆け引きが始まるあたりも長坂節の真骨頂。
  • いろいろあるけれども、本作の白眉はラストシーンにおける神代のセリフにつきるだろう。このやりとりを書いたのが岸氏か長坂氏かは知らないが、とにかく天才による超人的名セリフである。
  • 次回の長坂秀佳は田口計氏出演、「午後10時13分の完全犯罪!」。