怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と「爆破60分前の女!」

  • 特捜最前線第17話「爆破60分前の女!」(脚本・長坂秀佳 監督・佐藤肇)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。

[ストーリー]
群馬県松川村で民家が爆破され、4人が死傷した。捜査に当たる特命課員たち。その中で、桜井だけが財界首脳会議の警備を担当していた。会議当日、特命課のオフィスには神代と桜井しかいない。そこに、神代宛の小包が。中味は車のラジコン模型。だが、車体には時限発火装置とダイナマイトが仕掛けられていた。驚愕する二人に、犯人を名乗る男が電話をかけてくる。彼らは無線装置によりいつでも発火装置を動かすことができるという。特命課のオフィスは総合ビルに入っている。爆発すれば、5000人の命が危ない。外部への連絡を図る二人だが、オフィスは監視されていて身動きが取れない。
犯人一味はまず桜井を呼び出す。その目的は財界首脳会議にあるのだ。桜井にとって、爆弾とともにいる神代が人質である。指定場所に呼び出された桜井は、一味と首脳会議会場へと向う。
一方、神代にとっては桜井が人質である。首脳会議の開始は1時間後の10時。盗聴され、監視され身動きすらできない神代。
そこに、群馬県の爆破事件捜査に出動していた船村たちが戻ってくる。彼らに爆弾のことを漏らせば、即座に発火装置のスイッチが入れられる。神代はわざと素っ気ない態度を取り、彼らを追い返す。その態度に不審を持つ船村。犯人、神代、桜井、そして船村たち。四つ巴のかけひきが始まる。タイムリミットはあと1時間……。

  • ビデオが見つかった! 長坂秀佳術刊行記念に嬉々として見る。
  • 特捜2本目の長坂脚本。高橋プロデューサーをして「テンサイ的にオモシロイ」と言わしめただけのことはある。こんなの見せられたら、1日、何もする気がおきなくなる。事実しなかった、というよりできなかったし。
  • 「ユウカイの長坂」、「バクダンの長坂」と呼ばれる、まさにきっかけとなった一本。ただ、個人的に言わせてもらえれば、長坂脚本最大の魅力は「かけひき」だと思う。先手先手を読む、プロ同士の化かし合い。船村がわざとライター忘れていくところなんて、鳥肌もの。その緊迫感、高揚感は、他の人には書けないだろう。本作や「マニキュアをした銀行ギャング!」などがその好例。その発展形が「東京殺人ゲーム地図」だったりするのかも。
  • 本作では特命課レギュラー、全員が大活躍。「全員に見せ場を」という長坂氏の意気込みが見事、結実している。