怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と「ダイナマイトパニック1・殺人海域」

  • 特捜最前線第180話「ダイナマイトパニック1・殺人海域」(脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。


 鳥羽のカーフェリーより乗客一人が行方不明に。まもなく、漂流死体となって発見される。男の車にはダイナマイトが残されていた。
 そんなとき、輸送中の500キロのダイナマイトが何者かによって強奪される。トラックは爆発。運転手氷川の生死は不明となる。犯人の目的はいったい何なのか。
 漂流死体の身元が判明。名前は黒江。彼と行方不明の運転手氷川は、鳥羽出身の幼馴染みであった。二つの事件に繋がりはあるのか。
 やがて、各県警に「燃える命の火」と名乗る男より爆破予告電話が。午後5時に、駅を爆破する。現在の時刻は午前9時半。7時間半にわたる攻防が開始される。
「燃える命の火」より特命に電話。新宿の公園に爆弾を仕掛けたという。急行した桜井は時限爆弾を解体。事無きを得る。この行動はリハーサル。犯人がダイナマイトを所持し、爆弾製作の知識をもっていることを示したもの。その後、犯人側からの要求が明かされる。政財界の大物、木佐崎の持つモネの絵「エトルタの朝」を指定した海域に落とせという。時価4億3千万の絵。木佐崎は絵の持ち出しを拒否。神代は令状を取り、強制的に差し押さえる。
 絵は梱包され、指定海域に投下。その直後、木佐崎サイドから「あの絵はニセものだ」と連絡が。本物を受け取るため船村は鳥羽にいる木佐崎本人に会う。だがまったく相手にされない。指定時刻は迫る。本物は間に合うのか。

  • ここまでが、ほぼ前半。視聴者には、仕掛けられた爆弾がどこにあるのか、最初の段階で明かされている。新宿駅の売店前。ここで爆発したらどうなるか、緊張は高まる。
  • 真犯人は状況から見てすぐに判る。とはいえ、このエピソードの主眼はそんなところにはない。
  • 後半、特命の巻き返し。犯行動機、犯人の氏名が明らかとなる。
  • 特筆すべきは、神田隆演じる木佐崎のワルワルぶり。今も変わらぬ、「悪徳政治家」像をばっちり見せてくれる。一片の妥協もない悪者ぶりである。
  • 絵の取引に失敗後、犯人は木佐崎本人を呼び出そうとする。「一人で運転して○○まで来い」という要求。そこに隠された真意に、思わず膝を打つ。長坂秀佳は本格好きなのだなとあらためて思う。
  • (以下、真相に触れています)。犯人の目的は木佐崎への復讐。死んだ黒江は木佐崎の起こした轢き逃げを目撃していた。だが、木佐崎は「自分は運転ができない」と裁判で主張。身替わりの秘書が有罪となり、木佐崎は無罪に。納得のいかない黒江は木佐崎の犯行を頑に主張。結局、部下の手にかかり殺されてしまったのだ。犯人氷川はその復讐のため、犯行を計画した。「一人で運転して○○まで来い」と要求することは、つまり、木佐崎に車を運転しろ、ということ。「運転ができない」とした彼の主張をひっくり返そうというのだ。
  • 果たして木佐崎は来るのか。指定時刻は3時53分。手に汗握るところで、パート2につづく。