- 中野に恒例「桂吉朝独演会」を聴きにいく。定員制の自由席。開場時間丁度に行ったら、席のほとんどが埋まっている盛況さ。正直、驚いた。マクラの様子では、昼の部、夜の部、連続で聴いている人も多数いるようで、この時期の催しとして定着したということか。
- まずは桂吉坊の「宿屋街」。「宿屋仇」、「こぶ弁慶」につづくこの下りは私のもっとも好きなところ。楽しく聴けました。ところで、吉坊さん、若いなぁ。
- これを聴きたいがために夜の部にした「皿屋敷」。面白いんだけど、恐い、という分裂した気分を味わう。あの怪談噺をこう料理してしまうのだから、上方というのは凄いところです。やっぱり、商魂逞しい街なんですな。
- 中入り後は小品を二つ。「おごろもち盗人」と「鯉盗人」。何とものんびりしていた時代の泥棒噺。腕が疲れる噺でもある。「おごろもち……」は登場人物が約4人。地味な噺をあれだけ笑えるものに仕立てるとはさすがです。「鯉盗人」はオチの一節のためだけにこしらえたような噺。
- やっぱりうまいなぁ。安心して、ゆったりと聴けます。1時間半ほどの会。「あっさり目」との声も聞こえたが、このくらいで充分だと思う。サービス精神があるのは認めるが、3時間近く、一つの席で高座に集中せねばならない会は、やはり疲弊する。