怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

宿屋の仇討ちと文違い

Muho2006-05-05

  • 連休恒例「鈴々舎馬桜独演会」に連投。本日昼の部の演しものは、「宿屋の仇討ち」。関東版はテープでしか聴いたことがなかったので、それをお目当てに出かける。関西版というより、米朝版よりも落ち着いた感じ。何より、若い三人が、さほどはちゃめちゃでないあたりが、人間性を感じさせ、物悲しいほどのおかしさだった。西と東では、笑わせかたも違うのだなぁ。
  • 「宿屋仇」は「やさしい死神」の中でモチーフとして使った噺なのだが、「演者が東京の人なのに演出が関西風だ」と怒られた。以前聴いた関東版は関西版に比べ「爆笑度合い」が格段に低く、正直あまり好きになれなかった。だから、大好きな米朝師匠バージョンをそのまま使ったのだけれど、通には受け入れてもらえなかったようだ。関西版は大阪の宿屋街に来た兵庫の三人づれ。東京版は神奈川の宿に来た江戸の三人連れ。侍の出自などもかなり変わってくるので、気になる人は仕方がない。
  • ゲストの月亭遊方、まあ、落語にもいろいろあって良いと思うし、関西ではこれで良いのかもしれんけど、少なくとも、馬桜師匠の独演会に来ている人たちに合う芸風ではない。
  • トリは「文違い」。聴くのは初めて。落語の底力を堪能する。あまりの難しさに演者がほとんどいない、というのもうなずける。単純な騙しは二度までならただの騙しだけれど、三重構造、さらには四重構造になると、立派なエンターテイメントになる。この噺の構成力には、驚きを通り越して恐ろしさを感じる。
  • 夜の部、「白子屋政談 髪結新三」も聴きたかったのだが、仕事を残していることもあり、帰宅。