怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

「虱茶屋」と「木乃伊取り」

  • 連日落語である。今日は日本橋亭にて鈴々舎馬桜師匠の独演会最終日。前日は客がひどく厳しい高座であったとか。ハラハラしながら開演を待つ。
  • 今日もまずレクチャーから。煙管を知らない人がいるらしい。まあ、仕方がないとも言える。回りに無いのだから。私も実際に吸っている人など見たことはない。逆に落語を聴かなければ、煙管を知らなかっただろう。
  • ただ、「復元能力の無さ」は現実に問題だと思う。扇子と動作でもって「煙管を吸っているように見せる」芸が、「扇子に口をつけている」としか理解できない者が増えているとか。話は少しズレるが、何かの番組で、芸術として「写真の富士山」を理解できない若者が多くいると嘆いているカメラマンがいた。プロの写真家が一心こめて撮影した冬の富士山。ところが、「なぜわざわざ富士山を写真で見なければならないのだ。所詮、写真じゃないか。本物を見ればいいだろう」という若者が山といたらしい。小説にしてもマンガにしても、脳内補完は大切なものだと思うのだが、そうしたプロセスのいるものは廃れていくのだろう。そのうち、アニメも言われるに違いない。「なぜ絵を動かさなくてはならないのだ? 本物で撮れ」。
  • 演目は「虱茶屋」と「木乃伊取り」。これまた両方とも生で聴くのは初めて。「虱茶屋」……。よくもまあ、こんな噺を作ったものだ。噺としては単純で捻りも何もない。見どころは、虱踊りである。これはライブで見なければ意味がない。さらに言えば、これをライブで踊れる人はそうそういないだろう。
  • 「木乃伊取り」も鳴りものの入る賑やかな噺。三人もの人間が七日以上いつづけて、勘定はいくらになるのだろう、と考えてしまうところが貧乏人の哀しさよ。
  • 師匠、お疲れさまでした。