怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

刑事コロンボ 忘れられたスター

「刑事コロンボ 忘れられたスター」
ミュージカル映画の名場面を集めた「ソング&ダンス」が大ヒット。往年の大スター、グレース・ウイラーの人気もまた再燃した。彼女は夫である医学博士ヘンリー・ウイリスに資金援助を求め、新たに映画を撮ろうとする。ところが、ヘンリーはなぜか猛反対。グレースは彼を殺害することを決意する。
グレースはヘンリーが就寝前に飲む睡眠薬のカプセルに倍量を混入。自宅内にある映写室で映画を見ていると思わせ、夫の寝室に侵入、昏睡している夫の手に銃を握らせ、発砲する。
捜査に当たるコロンボは現状でいくつかの不審点を発見。これから死のうとする者が、どうして睡眠薬を飲んだのか。死の直前まで読んでいた本は実にコミカルでバカバカしい内容。自殺を考える者が読む内容ではない。だが、寝室には内側から鍵がかけられており、死者の手許には前立腺の悪化を告げるカルテがあった。状況は自殺を示している。コロンボの推理は……?

  • 訳あって、コロンボを観ねばならない状況になった。当分、コロンボ漬けである。
  • DVDのノーカット版を初めて見たのだが、噂に聞いていた、4分にのぼるカットシーン。これはすごい。被害者がいかにしてけん銃を寝室に持ち込んだのか。その解決となるスリッパのシーンがカットされている! 「スリッパの底は綺麗でした」というコロンボのセリフはあるのだが、実際にスリッパを確認しているシーンがあったとは。さらに、被害者が読んでいたバカバカしい本の内容。カット版では、コロンボが「アイルランンドの女性が競馬で大穴を当てて……」と説明するシーンがあるのみ。実際は書店員がその後の結末までを喋っている! 
  • 「刑事コロンボの秘密」によれば、90分の作品に引き延ばしたため、名作になり損ねたと書いてある。たしかに、けん銃のテスト問題など、懸命に時間を稼ごうとしている部分も見受けられる。とはいえ、コロンボ好きには許せる範囲。本作が名作であることに変わりはなかろう。
  • 殺人を犯し、グレースが自室に戻ったところで、廊下から執事の声が聞こえる。ヘンリーの部屋に鍵がかかっていて入れないのだ。その声を聞くグレースの顔。ほんの一瞬、もう殺人のことなど忘れているかのような表情を見せる。本作では、コロンボがいつからグレースを疑い始めるのか、そのきっかけが曖昧だ。と同時に、犯人である彼女がどこまで殺人の事実を覚えているのかも曖昧である。
  • 忘れてはならないのが、グレースを脇で支えるダイヤモンドと執事レイモンド。いや、もうたまりませんなぁ。