怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

沈黙の聖戦

Muho2006-04-15

  • 恒例の実家詣で。今週は行かないつもりだったのだが、京都で大量にお土産を貰ってしまい、それを渡しに行く。母親が借りているマンションの隣部屋は、長らく空いていた。先日、入居者があったらしい。巨大な黒人だったそうで。日本語はこれっぱかしも判らないらしく、廊下で会ったらどうしようと恐怖していた。
  • 本日は「沈黙の聖戦」。原題は、もはやパッケージのどこにも書いてない「Belly Of The Bast」。セガールが演じるのは、元CIA捜査官、ジェイク・ホッパー。彼の娘がタイを旅行中、上院議員の娘とともに拉致されてしまう。犯人はイスラム過激派の模様。情報を入手したホッパーは単身タイに乗りこみ、敵の使い手たちをこてんぱんにやっつける。それはもう、本当にこてんぱんにする。
  • この作品、実はまったく期待していなかった。「奪還」あたりで、そろそろセガールも終わり(とっくに終わっているという意見もあるが、無視)かなぁと寂しく思っていたのだが、やってくれましたよ、「沈黙の聖戦」。「電撃」以来の傑作ではなかろうか。
  • 人質奪還アクションものについては、「人質の虐げられた様子を描けば描くほどつまらなくなる」「現地調達のラブロマンスは、無くすわけにいかないだろうけど、限りなく『無い』に近い方がいい」という私的原則論を持っているのだが、この作品は見事に両方を満たしている。見せるべきは完全無欠のセガール拳であるから、人質が困っているところとか、セガールがよろしくやっているところなど、別に無くても良いのである。ただし、今回はセガールのベッドシーンが拝めることを付記しておく。
  • セガールが「敬愛」「偉大」と絶賛する仏教が出てくるが、巨大でデブなセガールが奇妙な作り笑いを浮かべ、「シーシー」とか言いながら、僧侶を威圧……いや、敬っている姿は、どう見てもインチキ臭く、サラ金の取り立てにしか見えないところも良い。
  • この作品の目玉はセガール拳だけではない。決め手は「呪術」だ。かって「ゴルゴ13」がブードゥーの呪いに苦しむという傑作があったが、それすらも凌ぐ勢い。ラストステージは善なる僧侶と呪術死のお経合戦。勝つのはどっち? 突発的に超常現象が出てくる話が大好きなもので、かなり興奮。セガールは東洋に詳しいことになっているが、実際はただの乱暴な西洋人で、東洋はいまだ「神秘の国」と信じている節がある。
  • セガールの相棒はバイロン・マン演じるスンティ。この人が出色で、映画としてもずいぶん彼に救われている。
  • 監督はチン・シウトン。アジア風の「タメ」と「雄叫び」が実に良いバランスで配されていて、デブなセガールの動きですら、とても格好良く見える。
  • ひさしぶりに良いもの観たなぁ。……最新作「沈黙の追撃」はどうなのだろう。
  • 検索していたら「沈黙の脱獄」というのがあったけど、脱獄ってのは、ふつう沈黙してやるもんだろう。
  • ムサイ。

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