怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

円谷一 ウルトラQと”テレビ映画”の時代

Muho2006-08-24

  • 「円谷一 ウルトラQと"テレビ映画"の時代」(白石雅彦)読了。なるほど、これは力作だった。名著だと思う。特撮関係の人物伝は構成が難しい。私を含め、本を買う動機は、やはり「ウルトラ」だの「ゴジラ」だの核心部が読みたいから。でも、その人物には歴史があって、核心部に行きつくまでに、いろいろな仕事をしているのが普通。その部分をいかに読ませるかが勝負所となるわけだが、本著は円谷一の仕事がそのまま日本テレビ映画の歴史にオーバーラップする構成を用いて、「ウルトラまで」をクリアしている。特撮ジャンルを盲目的に崇拝していない著者の姿勢もいい。円谷一という人物像を、しっかりとした筆力で、多角的に、冷静に組み上げていっている。
  • 円谷一という人は本当に100点満点の人だったと思う。できあがった作品があまりに優等生なので、あえて論評だの批判だの賞賛だのの入りこむ余地がなかったのではないか。「ゴメスを倒せ」はどこまでも「ゴメスを倒せ」だし、「あけてくれ」はどこまでも「あけてくれ」だし、「ウルトラ作戦第一号」に何を言うこともできないし、「怪獣無法地帯」は未来永劫、「怪獣無法地帯」だ。そこに「円谷一」という名前がなくても、輝き続ける作品たちばかり。作品が90点だったり50点だったり0点だったりするから、後の人はそこに賞賛、批判、論評の余地を見いだすのだ。
  • 私は「オイルSOS」というエピソードがたまらなく好きだ。それだけで、円谷一という人は、神様なのだ。
  • いやあ、ひさびさに良い本を読ませていただきました。ところでこの本、「ウルトラマンメビウス」のシリーズ構成をしている人たちも読んでいるのかしら。
  • フィギュア王という雑誌でこれからの「ウルトラマンメビウス」について読む。あらすじだけ読むとすんごい面白そうなんだけどなぁ。実際に見た時の落差がなぁ。頭でっかちの設定固執主義さえ、何とかなったらなぁ。
  • 私の敬愛する太田愛先生、がんばってください。シリーズ構成やってるアホたちをぶっ飛ばして、本当のウルトラマンを見せてください
  • ザク。

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