怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

ヒツジ? ヤギ?

  • ヤギとヤギを愛した容疑者を見た。
  • 「それ、ヒツジです」by 薄圭子

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  • ドラマを見ていただいた方の感想で「すごく面白かったけれど、ヤギはさすがに地味でしたね」というものがいくつか。実はヤギを選んだときからそれは承知していて、実のところ、「ヤギ」に関しては動物そのものより、ストーリーに寄ったものにしたいと考えていた。
  •  一つは、過去に見た海外ドラマでとても印象的なものがあったから。ネタバレを防ぎたいので詳しくは書かないけれど、ある単純な殺人事件が捜査をしていくと、とんでもない薬害事件に発展し、犠牲者数十人! というものがあった。単純と見られた殺人事件が恐ろしい薬害事件へと発展していく。その転調っぷりというか、予定していたものと違うところにポンと着地していく見事さに惚れ惚れした。「ヤギ」は当初思われていた事件の様相が、実はまったく違うもので、途中で大きく転調するものにしたかった。それが、ああいう結末に繋がった。
  • もう一つは、薄と須藤のコンビを描きたかったから。原作では「蜂」事件を乗り越え、二人の間にはギクシャク感もなくなっているはず。二人が相棒としてしっかり機能していて、すべてを言わなくても阿吽の呼吸で行動に移せる……様を描いておきたかった。
  • そしてドラマでは、その二つが見事に再現されていて、原作者大喜びなのであります。今まで書いた「いきもの係」シリーズの中でどれが一番好きか? ときかれたら、「実はヤギ」と答える。