怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

「刑事コロンボ・悪の温室」

  • 「刑事コロンボ」のDVDが大分、揃ってきた。これを機会に見直してみようと決心。ついでに全話レビューに挑戦してみようと思う。 ←はりきっているわりに、2005年現在、達成のみこみなし。

「刑事コロンボ・悪の温室」

浪費家の妻を持ち、遺産を食いつぶして生活するトニー・グッドイン。叔父であるジャービスは彼を巧みに操り、狂言誘拐を実行する。計画は成功し、トニーとジャービスは身代金30万ドルを手に入れる。だが、ジャービスの目的は金の一人占めであった。彼はトニーを殺害する。
 コロンボの11作目。殺人が起きる前にコロンボが登場するという変化球。
 全体的には、大雑把な印象が残る。コロンボ特有の緻密さがまるで感じられない。そもそも、ジャービスは何で生計をたてているのだろう? 蘭の栽培家ではなく、愛好家のようだし。生活能力がないため、このような犯罪を企んだとしたら、やはりコロンボの「犯人」としては落第である。
 計画の内容もはっきりしない。トニーは本当に誘拐され殺害されたと思わせたかったのか、それとも狂言誘拐をトニーが計画し、その結果仲間割れで殺されたと見せかけたかったのか? 愛人が密告しに現われ、いきなり「妻にすべてをなすりつけよう」という筋書きになるのだが、これまた初めはどうするつもりだったのだろう? 
 些細なことをごちゃごちゃ言ってみたものの、楽しい作品であることに変わりはない。コロンボの「崖転がり」やフレデリック・ウィルソンの登場など。
 今回、ウィルソンは犯人に利用される道化である。もっとも凡人である彼がいたからこそ、コロンボのヒーロー性が高まったともいえるのだが。
 日本テレビで深夜に「コロンボ」を放送していたころ、どういうわけか、「悪の温室」は放送されなかった記憶がある。記憶違いかもしれないが、そのとき録ったビデオのリストには入っていない。後年、土曜の昼間に突然放送され、慌ててビデオを買いにいった覚えはある。だが、これまたどうしたわけか、声が石田太郎になっていた。日本テレビは小池朝雄の声を抹殺するつもりなのかと憤慨した覚えがある。そんなこんなで、小池朝雄バージョンは初見であった。