怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

「刑事コロンボ・二つの顔」

「刑事コロンボ・二つの顔」

資産家クリフォード・パリスが自宅トレーニングルームで死体となって発見された。フィットネス自転車で運動中、心臓発作を起こしたらしい。浴室のタオルが濡れていることに気づいたコロンボは、死体の解剖を依頼する。一度入浴した男がどうしてまたトレーニングなどをはじめたのか? パリスは年の離れた女性と翌日に結婚する予定だった。コロンボは、甥が遺産目当てにパリスを殺したのではないかと推理する。
 サラブレッド・ブックスで読んだ小説版が非常に印象的だった。そのため、映像を見た時点で「ネタ」は知っていた。無念である。「見どころは、双児のどちらが殺したのか」と良く言われる。だが、殺人に至るシーンはそれほど綿密に描かれていない……と思っていたのだが、実はきちんと描かれていた。ネタを知らなければ、びっくりするに違いない。
 中盤、コロンボが料理番組に出演するシーンはアドリブだとか。それを考えつつ見ると、余計に面白い。
 もう一点、忘れてはならないのが、ペック夫人。テレビを巡るコロンボとのやり取りは何度見ても笑える。
 「事故」でないと知れた時点で、犯罪計画としては、失敗。今回の見どころはそれとはまた別の点にある。従って、犯人をネチネチ追求するコロンボの弁説は少ない。
 婚約者リサ・チャンバースの死については、事故なのか自殺なのかまったく言及がない。小説版には、彼女の心の揺れが克明に描かれており、理解の助けとなった。