怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

腸閉塞と桂米朝師匠「たちぎれ線香」

  • 流動食をすっとばし、3分粥から。 -流動食をすっとばし、3分粥から。 -そろそろ 退屈しはじめる。今回はスティーブン・ハンターの「最も危険な場所」に救われている。面白いのなんの。「極大射程」についで好きかも。
  •  本日の落語は桂米朝師匠の「たちぎれ線香」 これまた大ネタである。 落語といっても、明るく陽気なものばかりではない。人間の本性に迫る、陰惨なものも数多くある。もっとも印象的だったのは「菊江仏壇」。あれはすさまじい。善人のふりした悪人が出てくる。主人公の若だんなは鬼畜であるし、弱味を握られている番頭も強烈。ここまでくるとロマンである。「たちぎれ線香」は陰惨な噺ではない。しかし、何ともやりきれない寂しさを感じる噺である。登場人物がみな善人であるだけに、その巡り会いの悪さが余計、切なさを引き立てる。 昔からくり返し聴いた噺だが、二点だけ判断のつかぬところがある。蔵から出てきた若だんなが、小てるの手紙を読み再び家を出るところ。一度は「目が醒めた」と語った若だんな。あれは本当だったのか。本当に小てるを捨てる気だったのか。それとも、その場限りの嘘で、ほとぼりが冷めたらまた通い始めるつもりだったのか。二つ目は、嘘をつき家を出る若だんなに小金を持たせる番頭。彼は、若だんなの行き先を知っていたのだろうか。いずれ、どなたかの解釈をうかがいたいものである。