怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

鈴々舎馬桜独演会と餅づくし

  • お江戸日本橋亭に「鈴々舎馬桜独演会」を聴きに行く。「着物の会」ということで、着物であれば師匠特製の手ぬぐいがいただける趣向。とはいえ、着物なんぞ着たこともないので、申し訳ないが、いつもながらの格好でお邪魔する。
  • 今日は「餅」づくし。まずは「黄金餅」。「賛否両論、分れる黄金餅をやります」とおっしゃっていたので興味津々である。「黄金餅」の聴きどころの一つは、西念の葬列が下谷山崎町から麻布絶口釜無村の木蓮寺まで行く町づくしの言い立て。師匠は数日前、実際にその道筋を歩かれたとのことで、言い立ても、現代の街並を再現してのものとなった。写真の展示などで、「昔の街並」と「今の街並」を比較したものがある。ビルの建っているところが20年前は原っぱだったりと実に面白い。神田、僕らの町秋葉原、銀座、新橋と進んでいく描写はそうした意味でも実に興味深く聴くことができた。志ん生師匠の「みんなくたびれたが、しゃべっている私もくたびれた……」に負けない名演でした。
  • つづいては、「粟餅」。これは何ともすごい話で、粗筋を書くことすら憚られるという。ストーリー的には米朝師匠が演じられた「げんげしゃ茶屋」などに挿入されている一エピソードと似ている。とはいえ、これは一本の噺になっているわけですからねぇ。「馬桜師匠、堂々の十八番」と言いたいところだが、決して、名誉にはならない気もする。でも、落語好きなら、一度は聴かないと。
  • 最後は浄瑠璃。「菅原伝授手習鑑・寺子屋の段」である。浄瑠璃というものを見たのも初めて。落語の中でたびたび登場するので、「見た」気になっていたのだが、本物はやはり違う。勉強不足のため、「浄瑠璃」というものをよく把握してはいないのだが、とにかく、物凄い芸であることは確か。声量は要求されるし、細やかな感情をその声の内に表現しなければならない。お稽古は大変だと思いますが、今後もぜひつづけて上演していただきたい、と思う次第。
  • 次回は「第128回 本牧落語五人会」である。
  • 本牧亭に向う途中、S田さんを発見。声をかけそびれてしまいました。