怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と「バラの花殺人事件!」

  • 特捜最前線第214話「バラの花殺人事件!」(脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。

[ストーリー]
公園で暴力団員鮫島の死体が発見された。死因は後頭部殴打によるもの。しかし、死体の胸にはナイフが突き刺さり、一輪のバラの花が。所轄は事件直前、鮫島とともに公園に入った花屋の店員、風祭妙子を容疑者と断定、連行する。取り調べに対し彼女は完全黙秘。妙子をよく知る船村は、彼女の無実を確信。一人、捜査を始める。
しかし、妙子を取り巻く状況は厳しい。その日の昼間、妙子は鮫島に殴られている小学生を助けていた。その後、鮫島は妙子を尾行。公園に連れ込まれる妙子を目撃した者もおり、さらに事件直後、慌ててバスに乗ったことを運転手が証言していた。
船村はのぞき屋を当たり、さらなる目撃者を探す。その結果、妙子が現場を逃げ出した時点で、鮫島の体はズボンを下ろしうつ伏せになっていたと判明。妙子が逃げた後、何者かが衣服を直しナイフを突き立て、バラの花を置いたことになる。
船村の捜査で妙子の釈放が決定。だがその直後、新たな殺人が。被害者は東都病院の受付、野本。死体にはバラの花が置かれていた。彼は妙子が鮫島に尾行されていたと証言した一人。所轄は妙子に対する疑いを深める。
そんな中、船村は「バラの復讐」という昭和25年の映画を思い出す。その映画の中で、主人公は殺した相手の体にバラを残していたのだ。今回の事件と、その映画の関係は何か。
そこに、第三の事件、発生の報が。

  • 冒頭は恒例、「船村刑事のあんたは殺ってないシリーズ」かと身を乗り出す。ところが、中盤を前にして容疑者はあっけなく釈放。そこに「バラの復讐」という映画登場。「見立て殺人」かと身を乗り出す。ところが、終盤は特捜らしい濃厚な人情ものにシフトする。
  • 正直、これは別に長坂秀佳が書くようなテーマではなかろうとやや落胆気味で見ていたのだが、ラストシーンですべて吹き飛ぶ。現在の事件と過去の映画が時空を超えてリンクする。そのセリフ一つ一つの重いこと。そうですか、これがやりたかったのですね。なら納得。くれぐれも、途中で投げ出さないように、最期まで見ること。 

(注)別に意外な犯人が出てくるわけではない。