怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と「退職刑事船村・鬼」

  • 特捜最前線第499話「退職刑事船村・鬼」(脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。

[ストーリー]
飲む覚醒剤が主婦、若者を中心に蔓延。特命課は密売組織を牛耳る暴力団天佑会を張る。天佑会の組長有藤は2年前に逮捕され、まもなく釈放される。その留守中、3人の幹部は独断で覚醒剤の密売を行っていた。釈放された有藤が、これらの動きに黙っているはずがない。密売ルートを潰すべく、所轄、捜査四課、特命課が動く。
だが、捜査を進める上で大きな問題点があった。警察内部に密告者が存在するのだ。その正体を突き止めねば、捜査は後手に回る可能性がある。
しかし、密告者の顔を知る者は、通称「ヤシマ」と呼ばれる者、ただ独り。そして、「ヤシマ」の顔を知る者もまた、警察内部には一人もいなかった。
「ヤシマ」の顔を知る唯一の男。それは警察を退職した船村元刑事であった。所轄、捜査四課は船村の協力を要請する。だが、娘、孫と平和な日々を過ごす船村は、その要請を拒否。暴力団絡みの事件に協力すれば、娘、孫にも危害が及ぶ。橘、桜井の説得に耳もかさない船村。
飲む覚醒剤は次々と悲惨な犠牲者を生む。母親が自殺し、残される子供たち。その現実に、船村は協力を申し出る。時を同じくして、天佑会の魔の手は、船村一家にのびる。娘香子が事故に遭い入院。つづいて孫大平が誘拐される。そして、船村の前に現われた天佑会の幹部たち。彼らが突きつけた要求は、船村の手で「ヤシマ」を消すことだった。
太平誘拐の事実を特命課に告げることもできず、ただ張り込みをつづける船村。その手の中にはけん銃があった……。

  • とある人より、ビデオをお借りした。本放送時に録画されたものである。感謝感激である。
  • 最初のカットはいきなり「船村」。
  • 物悲しいテーマ曲がこれでもかと鳴りつづける。そしてバケツの水かけ。この冒頭3分で、長坂脚本と天野演出がいかに凄まじいものであるかが判る。これはもう天才。私にとっては神。
  • 時田、犬養と船村は初対面。叶、紅林たちとの温度差が楽しい。
  • 船村の苦悩と並行して、特命課による鋭利な捜査が続けられる。橘、桜井の黄金コンビが活躍。船村刑事に対抗するには、この二人しかない。適格な人選。
  • 鉄砲松を演じるのは、何といっても「あの人」。そう、この時点では殉職しているんですねぇ、吉野刑事……。
  • 捜査四課の西岡(蟹江敬三)もなつかしい……。この回があったからこそ、最終回がひきたつ。計算だったのかなぁ。
  • 猛烈な圧迫感を持つ50分。車の中で張り込みをしながら、孫の無事を祈りつづける姿。大滝秀治、かっこいいなぁ、泣けるなぁ。「母さん、ちっとも助けてくれんじゃないか」は本気でぐっときます。ということで、後編は後日。