怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と裸足の女警部補!

  • 特捜最前線第267話「裸足の女警部補!」(脚本・長坂秀佳 監督・藤井邦夫)を観て、あまりの面白さにふらふらとなる。

 

闇の世界に君臨する超大物の乗っ取り屋、建部川忠臣。特命課は彼を逮捕すべく捜査を進めていた。
発端はホテルファイブスターの火事。多数の死者をだしたこの火災は、当初、外国人による煙草の不始末とされていた。ところが、その後の捜査で「放火」の可能性が。容疑者として浮上したのは、建部川忠臣の元ボディーガード外山。出火直前、ホテルから出る外山と妻マチコの姿が目撃されていたのだ。
二人の行方を追う特命課。その一方で、建部川と繋がりのある暴力団針生組も行動を開始していた。
ある夜、吉野刑事に外山から電話が。待ち合わせ場所に急行する吉野だが、外山は既に針生組に拉致されていた。手許に残ったのは一本のフィルム。それも、ほとんどが感光しており、無事現像できたのは一枚だけだった。写真にはロッカーを背に、着替えをしている女性と出前持ちの姿が。
翌朝、外山の死体が見つかる。建部川忠臣を逮捕するため、残された手がかりはマチコだけだ。吉野は本庁捜査一課特殊班白水警部補とコンビを組み、マチコの行方を追う。
マチコは既に整形手術で顔を変え、逃亡しているらしい。彼女を見つけられるのは成形前の様子を知る、二人だけなのだ。
手がかりとなるのは、外山の残した写真。それはどこで撮られたものなのか。吉野はカメラマンに扮し、風俗店を当たる。
しかし、二人の行動は建部川の知るところとなり、警視庁にも圧力がかかる。本庁一課も捜査の中止を決定。それでも白水は命令を無視し、クビを覚悟でマチコを探す。特命も捜査中止の要請を拒否。その一方、針生組の「特攻隊」が吉野たちの命を狙う。二人はマチコを見つけることができるのか。

 

  • 抜群に面白かった。DVDの人気投票前にこれを観ていたら、候補に入れていたかもしれない。たった一枚の写真からどれほどの情報が得られるのか。撮影アングルから隠し撮りであること、背景のロッカーの製造元を洗うことでどこに納入されたのか、出前持ちの歩く方向から出入口がどちらにあるか、など、論理展開として学ぶべきところ多数。
  • コンビものとしての完成度も高い。水と油の両者が、少しずつ実力を認めあい、最後には絶妙のコンビとして行動していく。お決まりの展開だが、そこに「命令無視」を絡ませることで、俄然、観ているこちらは熱くなる。上手いなぁ。
  • 白水警部補は再登場……というか特命課のレギュラーになってもよかったのではないかと思うほど素敵なキャラクター。演じるのは進千賀子で、254話「海に消えた殺人婦警!」では、まさに海に消える殺人婦警を好演していた。
  • 「長坂秀佳術」に載った長坂秀佳氏による自作解説は、誠直也に対する愛であふれていた。
  • 私のようなすれっからしは、途中で気づいてしまったが、途中、ものすごいどんでん返しが用意されている。当時、予備知識なしで観ていた人は、腰を抜かしただろう。それにしても鮮やかだった。小説ではできないこと。お見事でした。
  • うーむ、それにしても傑作だった。ベスト10を組みかえねば。
  • 次の長坂秀佳は第273話「水色の幽霊を見た婦警!」。高杉婦警受難編第3弾。眠れないほど楽しみだ。