怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と「深夜の密告ファクシミリ!」

  • 特捜最前線第217話「深夜の密告ファクシミリ!」(脚本・長坂秀佳 監督・野田幸男)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。

[ストーリー]
午後10時、特命課に導入された高速ファクシミリが作動した。送られてきたのは、大学教授夫人殺害を報じる新聞記事であった。いったい誰が、何のために送ってきたのか。叶刑事は事件の再調査を始める。
事件の概要は以下の通り。教授有川翔介の妻、房江の絞殺死体が、ラブホテルで発見された。推定犯行時刻直後、ホテルから男が一人立ち去っていた。房江には二人の浮気相手がいた。作曲家の小泉と建築デザイナー黒崎である。夫翔介も含め、容疑者たちにはアリバイがない。
 聞きこみを続ける叶。やがて夜10時。2度目のファックスが送られてきた。今度はとあるクラブの写真。店に赴いた叶は店員から思わぬ証言を得る。事件当日、房江はこの店で何者かと待ち合わせをしていたというのだ。その際、房江は店員に伝言を頼み、自らを「北島」と名乗った。それを聞いた叶は愕然とする。
 房江の娘、亜弥子は環境学を専攻する宗谷教授の許でボランティアをしていた。宗谷の死んだ妻の旧姓は北島である。
 やがて3度目のファックスが。今度は房江が記した昭和32年3月24日の日記のコピーだった。そこには、何者かと不倫関係に陥ったことが書かれている。その相手こそ、宗谷なのではないか。叶は推理する。
 だが、房江殺害当日、宗谷には完璧なアリバイがあった。停滞する捜査。だが、まもなく、宗谷が環境問題をたてに、企業を恐喝していた事実が……。
 房江を殺したのは誰か。翔介か、小泉か、黒崎か、宗谷か、娘亜弥子か。それとも、まったくの別人か。叶が暴いた密室トリックとは。

  • ミラーマンを見ていると、犯人が判ってしまうのが残念。
  • 血縁を巡るドロドロとしたなかに、純粋な悪意がポンと封入されている。そのミスリーディングがお見事である。
  • 犯人はどこのファックスを使っているのか? 犯人にぎりぎりまで接近しながら、視聴者にもその顔を明かさない力技。長坂秀佳氏が最期までこだわったのは、実はフーダニットであった。
  • 東京、大阪間のやりとりが、「わずか20秒」。仰々しく紹介される、ファックス。
  • 2月のファミリー劇場の番組表を見る。げっ、特捜最前線、放送打ち切り。それも、「殺人鬼を見た車椅子の婦警!」を目の前にして。「ストリップ・スキャンダル!」も見られんではないか。抗議だ抗議だ! 断固抗議だ!!