怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と凶弾・神代夏子死す!

  • 特捜最前線第50話「凶弾・神代夏子死す!」(脚本・長坂秀佳 監督・佐藤肇)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。

[ストーリー]
倒産した三丸商事社長大田黒。彼には、けん銃密輸の容疑がかけられていた。証拠を掴むべく張り込みを行う特命課。ある日、張り込み中の吉野に、老夫婦が火を借りにきた。二人は吉野のライターで、手製爆弾の導火線に火をつける。爆弾は大田黒家の門前で爆発。幸い殺傷力の無いものであったため、事無きを得るが……。
老夫婦は三丸商事の営業部長も沢田孝平の両親であった。彼は数ケ月前、階段が落ちて死亡。妻子も後追い心中をしていた。二人は息子が殺されたのだと確信。大田黒家で騒ぎを起こし、注目を集めようとしたという。子供を思う親の気持ちに、神代は夏子をだぶらせる。彼女は恋人を失ったばかり。自殺まで考える娘を、何とか立ち直らせようとする神代だったが……
その頃、各地で暴力団同士の抗争が激化。密輸けん銃を使った発砲事件が相次ぎ、一般市民にも多数の犠牲者が。大田黒を押さえたい特命だが、証拠がない。
沢田夫婦の自宅を訪れた桜井たちは愕然。家内が何者かに荒されていた。三丸商事一派は老夫婦が密輸に関する証拠を握っていると思いこんでいるらしい。二人の命が危ない。
神代は夫婦を自宅に匿うことに。息子を失いつつ、懸命に生きる二人の姿は、やがて夏子にも希望を与える。
だが、その矢先、沢田夫人が死体となって発見される。夫婦は再び大田黒家に手製爆弾を仕掛けに行った。大田黒への復讐を捨てきれない夫人は、家内へと侵入していき、何者かとはち合わせしたのだ。
大田黒の行方を追う特命。追い詰められた大田黒は何者かに助けを求める。密輸に関わる人物は、もう一人いたのだ。
指定された場所へと向う大田黒。そんな彼を偶然発見した神代夏子。彼女は追跡を開始する。
利用価値のなくなった大田黒を射殺する真犯人。人質となった神代夏子。犯人に銃を向ける神代。そして凶弾が夏子をとらえた。

  • 終幕3部作と並び、避けては通れない1本。とはいえ、今回は夏子の死よりも、沢田夫妻にポイントがおかれている。それにしても、「被害者連絡会」の発足には驚いた。数年前から、現実に大問題となっている事案。時代を先取りしていたのですねぇ。
  • 夏子の死がひしひしと迫ってくるのは、次作「凶弾2」である。今さらながら、これはすさまじい。あらゆる意味で野心的。長坂秀佳氏の自信とガチンコな姿勢がよく現われている。第50話は良くも悪くも「序章」である。
  • 夏子の死について長坂秀佳氏は「人質をタテにした犯人が『射つぞ!』っていってるのに、神代が堂々と近づいていって逮捕しちゃうって話」……「オレはその脚本家にも、監督にも、プロデューサーにも腹が立った。『もしあれで本当に射たれたらどうするんだよ』ってね。だからやろうと思ったわけ」と語る。うひゃぁである。そういう姿勢、大好き。
  • 「はみだし刑事」などでは、いまだにやっている。リアリティはないよなぁ。でも、本当に射ったのは、本作くらいなのでは?
  • そして、栄光の51話……。