怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

長坂秀佳と「非情の街・ピエロと呼ばれた男!」

  • 特捜最前線第129話「非情の街・ピエロと呼ばれた男!」(脚本・長坂秀佳 監督・天野利彦)を見て、あまりの面白さにふらふらとなる。


[ストーリー]
昭和49年9月30日、新興の街・昭川市で暴力団水明会の事務所が爆破された。対立していた大津田組の仕業である。5年後、殺人教唆で起訴されていた大津田組組長、大津田勝は、手下に罪を押し付ける形で無罪を勝ち取る。同日、重傷であった水明会組長水島明が数度に及ぶ手術の後退院。抗争の再燃が必至となる。
昭川市の人口は5年で8倍に膨れ上がっている。抗争が起きれば、民間人にも危害が及ぶ。そんなとき特命課は、ある情報を入手。爆弾マニアで通称「ピエロの三次」と呼ばれる男が、水明会に呼ばれたというのだ。水島は三次に作らせた爆弾で、大津田組への復讐を狙っている。三次を逮捕した特命だが、そこは「ピエロ」とアダナされる男。ふざけ半分の態度で取り調べも進まない。神代は水明会が三次の顔を知らないことに目をつけ、偽の三次を送り、昭川市に潜入させる作戦を提案。立候補する吉野たちを尻目に、神代が選んだのは、堅物一辺倒の紅林だった。三次は左利きであり、刑事の中で左利きは紅林しかいないのだ。
爆弾は既に水明会に届いており、あとは仕掛ける場所を決めるだけ。会長水島は、警戒心が強く、あらゆる手段で三次のことを試そうとするに違いない。わずかでもミスをすれば、命を失うのはもちろん、昭川市に仕掛けられた爆弾が爆発することになる。ピエロの三次に扮した紅林は、唯一人、水明会の許へと向う。

  • 「ピエロの三次」の行動は、ほとんど薬物中毒者である。その奇行を紅林が演じきれるかが焦点となる。冒頭10分は、特捜全話を通して、紅林こと横光克彦氏がもっとも光り輝いた瞬間ではなかろうか。すごいです。
  • 潜入した紅林が、水島たちと渡り合う。その辺の騙し合いは、毎度のごとく長坂秀佳脚本の真骨頂である。
  • まず、合い言葉を求められる。続いて大酒盛り。三次は底なしなのだ。だが、紅林は下戸。さて、どうする。
  • アジトとして使っているスナック「愛」。そこのママが何と元婦警。それも昭川署に勤務していたことがあり、紅林の顔を知っている。さて、どうなる。
  • 神代の取り調べにより、本物の三次が自供を始める。爆弾が爆発するのは、明日の三時。場所は判らないが、「大津田組の面々と大量の麻薬を一度に吹き飛ばす」という。組員と麻薬がある場所を特命は14ケ所特定。残り15時間にすべてをかける。
  • それでも、爆弾は見つからない。残り時間はわずか。最後ののぞみは、やはり紅林。そして、意外な爆破場所。
  • 組員たちがいる場所に仕掛けるのではなく、仕掛けた場所に組員を誘導する見事な作戦。裏の裏のそのまた裏の裏をかいた格好となる。
  • ラスト、爆破予定現場では、少年野球のメンバーたちが。さあその結末は……。
  • この前、127、128話は「裸の街」。大滝秀治演じる船村刑事が一時退職を決意する骨太な作品。その後を継いでの「非情の街」。当時の特捜、向うところ敵無しです。さらに言えば、1つおいた131話には、かの大名作「6000万の美談を狩れ!」が登場。