怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

柳家小三治独演会と柳貴家小雪さん

  • 中野で行われた柳家小三治独演会に行く。1200人入るという大きなホール。前回聴いたのは、王子の北トピアであったが、そことほぼ同規模ということになる。小三治師匠が、こうした大きな場所で連続して独演会をやるなんて珍しいことだ。
  • まずは、柳家三之助さん。「芝居の喧嘩」である。この人、声の張りといいリズムといい、その陽気なオーラといい、将来が楽しみな人。ただ、会場が広いためマイクがギンギンに入っていて、9列目の私には耳をふさぎたくなるほどの大音量。もう少し良い条件でじっくり聴いてみたい。
  • 柳家小三治師匠、まずは「かんしゃく」である。この話は明治後期を舞台とした新作落語。作者以外の人が演じて、初めて新作は古典になる、という小三治師匠の見解に思わず納得。柳昇師匠の「結婚式風景」などは、まだ新作であるということだ。「かんしゃく」は何しろ時代背景が明治であるから、男の威張りっぷりがすさまじい。それに対し、女性は黙して耐えるだけ。一歩間違うと、とんでもなく不快な噺となる。これをテレビでやった日には、大変なことになるだろう。小三治師匠は「どじょうや」など、一人でぶつぶつ言っている人を演じると出色。この噺を、気分良く聴かせることができるのは、小三治師匠の他にはいないだろう。
  • 後半の前にハプニング。小三治師匠の身内で柳貴家小雪という方が舞台に引っぱり上げられる。手伝いをするため師匠の楽屋を訪ねたら、舞台に出て何かやれと言われたとのこと。小雪師匠は大神楽の名手。以前、末広で一度見たことがある。それはもう、驚異驚愕、世界遺産のような芸である。以来、密かなファンであったのだ。しかし、今回は道具を何も持ってきていないという。そこで、小三治師匠が舞台袖から持ってくるものを指や額に載せていく。こうもり傘、圧巻はペットボトルと茶筒と洗剤の容器の三つ重ね。いやはや素晴らしい。
  • そして柳家小三治師匠の「茶の湯」。これは落語としての迫力に満ちあふれた作品。一代で大店を構えることとなった旦那が隠居するところに始まり、野良仕事をしている人のほっぺたにお菓子がぶち当たったところまでを描く。その間のジェットコースターのような展開を見よ。物語っていうのは、面白いのが一番。評価や理屈なんてものは後からついてくるのだとあらためて思う。
  • チケットをとっていただいたコルクT氏、ありがとうございます。