怪獣万歳!

muho2’s diary

小説を書いて暮らしている大倉崇裕です。怪獣が3度の飯より好きです。政治的な発言は控えていましたが、保険証廃止の動きで頭が沸騰し、しばらく叫き続けていきます。自分自身大病もしたし、12年間親の介護もしました。その経験からも、保険証は廃止しちゃダメ。絶対!

横浜にぎわい座と「柳家小三治独演会」

  • お誘いをいただき、横浜にぎわい座で開催された、「柳家小三治独演会」に行く。にぎわい座は初めて。桜木町に下りるのも十年ぶりくらい。その変貌ぶりに驚いた。最後に来たのは、たしか、作家H・Nさんと食事をしたときだ。H・Nさん、最近ごぶさたですが、いかがされているのでしょう……。
  • 前座さんは柳家一琴。でっぷりとした、雪だるまの上におむすびが乗ったような風貌で、なかなかの強面。通りで会ったら、道をゆずってしまいそうだが、高座は陽気で実に楽しい。演しものは「片棒」。時間の関係で「金」「銀」までで終わってしまった。
  • 小三治師匠は、まず長いマクラから。オフレコ、NHKでは絶対に話せないネタということなので、内容は秘す。30分にわたる、とりとめのない話、と見せかけて、実は演目「猫の茶碗」の見事な前ふりとなっている……のか、マクラの成り行きに合わせて演目を決めたのか、物と価値、物と値段についての深い話であった。「え!? このゲスラが48000円! 惚れた!!」というようなことが、その日の朝にあったので。
  • 中入り後、今度はマクラもなにも一切なく、いきなり「猫の災難」に突入。この夜、にぎわい座の前に赤提灯の屋台をだしておけば、間違いなく大もうけであっただろう。登場人物は三人。ほとんどは酔っぱらいの独り言。そして、9割が妄想と作為の産物で、実際には何も起きていないという離れ業。ストレートでオチも効いていて、大好きな噺だが、演じるのは難しいのだろうなぁ。
  • 寄席に出かけたのがひさしぶり。生で堪能したのもひさしぶり。素敵な一夜でありました。お誘いくださったM田さん、ありがとうございます。

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