- 早くも一週間。明日は「警視庁いきもの係 ペンギンを愛した容疑者」の放送日であります。
- ペンギンは第一話を書いた時点でいつかやってみようと思っていた動物。発端はネットで、ペンギンを飼っている方のブログを見たこと。ペンギンって飼えるんだ! という驚きと愛らしい散歩写真に悩殺。ただ、「小鳥」刊行後、シリーズはしばらく中断、再開が決まるも、今度は長編でという要望もあり、「蜂」を書くことになったので、しばらく延期に。それでもことあるごとに「次はペンギン」と宣言し、自分の首をしめていた記憶もある。
- 2014年、ようやく連載が始まることになり、「さあ、ペンギン!」と意気込んだものの、当てにしていたブログは更新が止まり、もう一つのページは影も形もなし……。途方に暮れているところに二つの耳よりな情報が。一つはその名もずばり「ペンギンの飼い方」という本があるとのこと。ただし、個人出版に近いもので、現在は入手不能。そこで編集担当さんが捜して下さり、著者の方の連絡先を突き止めてくれた。そこで私が直接電話。著者の方のお手元にあった本を購入させていただくことになった。
- 実際にペンギンの飼育経験のある著者による、ペンギン愛に満ちあふれた誠実な作品だった。小説内の多くは、この本を参考にさせていただいた。ただ、私の小説はミステリーなので、いろいろとトリッキーな使い方をしている。冷凍魚を投げるとか……。一番気になったというか恐れていたのは、こんな扱いをして著者の方がお怒りにならないかということだった。ビクビクしながら本をお送りしたところ、ある日、封書でお返事が! 私の小説をミステリーとして理解して下さり、面白かったとのお言葉も。このご返事は宝物として、今も大切に取ってある。「ペンギンの飼い方」なくして、「ペンギンを愛した容疑者」は生まれなかった。
- もう一つは池袋にある「ペンギンのいるBAR」の存在。ここも担当編集さんと半ば飛び込みのようにして突撃取材。すると店長さん自ら、とても丁寧に対応していただいた。「ペンギンのいるBAR」(http://www.penginbar.jp)
- 日記を調べて見たら、取材にお邪魔したのは、2014年9月のことだった。
- そして、メフィストに載ったのが、同年12月。予告にある「ハト」も「ワニ」も実現できていないなぁ。
- 当然ではあるのだが、小説中、殺人現場ともなるペンギン飼育場は、「ペンギンのいるBAR」をモデルにしている。お話をたっぷり聞かせていただいたうえ、エサやりまでさせていただいた店長には今でも感謝している。ありがとうございました。
- いきもの係シリーズを始めたとき、目標としたのは、「ペンギン」と「サル」だった。その両方を達成できた三冊目「ペンギンを愛した容疑者」は私にとって、とても大切な作品だ。そして、そのペンギンがドラマになって映像で見られるなんて。夢のようなことというのは、時々、本当に起きるものなのだ。
